緒方監督「4番誠也こだわってない」日本一へ自在流

広島市内を背に4連覇、日本一を目指す緒方孝市監督(撮影・栗木一考)

丸が抜けても日本一じゃ! 広島緒方孝市監督(50)が日刊スポーツの新春スペシャルインタビューで、4連覇、そして悲願の日本一への思いを語った。2年連続MVPの丸佳浩外野手(29)が巨人に移籍し、戦力ダウンが懸念される中、型にはめない自在采配で活路を開く。3連覇を支えた「タナキクマル」は過去のもの。若手の成長を促し、戦いながら19年版ベスト布陣をつくる。【取材・構成=村野森、前原淳】

-昨年は3連覇しながら日本一を逃した

緒方 負けて終わってるんでね。残念というより悔しい。ただ、悔しい気持ちだけでは終われない。選手をしっかり成長させながら、日本一につなげられる野球をしていく。

-日本シリーズでソフトバンクに敗れた反省は

緒方 短期決戦は1つの流れの中で決着がつく。まずは単純なミス、流れを渡さないことが一番大切だなと。見誤ったというか、想定以上だったのが甲斐君の肩。いろんな攻撃を考えた中で、流れを止められた形になった。シーズン戦う上でも、もっともっと、戦うすべが必要だと感じた。

-日本シリーズはミスをしないで敗れた。さらなる戦うすべとは

緒方 隙のないワンプレーワンプレーができる、取れるアウトはしっかり取る。中継プレーとか、ちょっとした走塁にしてもボーンヘッドがないように。常に1つ先の塁をねらう。凡打でも凡フライでも、全力疾走というのはすごく大事。打つことに対してスポットライトが当たりすぎて、機動力というところがシーズン中にどこかおろそかじゃなかったかとか、いろんな反省もあるんでね。

-丸が抜けた。どうチームをつくり直すか

緒方 丸だけじゃなく新井もエルドレッドもいなくなった。マイナスも多いかもしれないけど、カープってそういう球団。そういう歴史を繰り返している。そこから若い選手を鍛え、戦力にしていく。丸が抜けようと、主力が抜けようと、目指す野球は変わらない。

-丸が抜けた3番は

緒方 固定観念はない。相手投手の力、タイプとか、個人個人の打撃とか見極めながら、いろんな形を最初は組んでいくでしょう。2019年のカープの打線が早いうちに固まればいいし、固まらないならいろんなこと考えながらやっていけばいい。形なんかいらない。極端な話、4番鈴木にもこだわってない。松山が入ろうが、外国人が入ろうが、それはそれでいい。

-レギュラーに配慮しないのか

緒方 チームが勝つために采配を振るだけ。彼らだって人間。143試合の長丁場、常に100%では戦えない。レギュラーであっても外さざるを得ない状況であれば、もちろん外す。個人を救うことにもなるし、チームのためにもなる。

-布陣をどこまで固めているか

緒方 そこをどう考えるか。ゼロベースぐらいで考えて、戦いをキャンプからスタートさせないと、選手はあぐらをかく。常に新しいチームに変えていくぐらいの気持ち。同じチームじゃ勝てない。若い選手が割って入るのは難しいけど、考えられないほど成長することがある。松山にしてもそう。なかなか規定打席達しなかったのを到達して、大きな自信になった。

-重視するセンターラインは固めないのか

緒方 打つだけの選手をセンターに置こうとは思わない。必然と何人かにしぼられてくるかもしれないけど、しっかり守りを重視した上で考えていく。

-丸の穴をどう埋める

緒方 丸が抜けても、そこにとってかわる選手が入って、守備面で大きくマイナスのことはない。そこの心配はしてない。もちろん、例えば経験の浅い西川がどうかとか、最初のうちはマイナスのことが多いかもわからないけども、選手が成長してくればそれがプラスになっていく。

-巨人は意識するか

緒方 同じようなこと、毎年いわれてるんだけどね。今年だけじゃないでしょ。確かに今年はこっちの主力選手が抜けてマイナス、向こうはプラスっていう形になるけども、いまさら始まったわけじゃない。監督も原さんにかわって興味はあるけど、他にまだ4球団ある。

-4連覇へのプレッシャー

緒方 来年は挑戦者の気持ちをもって、リーグ優勝をまず目指す。ジャイアンツにしろ、阪神にしろ、ああいう人気球団、ものすごいプレッシャーがあるだろうけど、カープは今、2球団に負けないくらいのファンの方がいる。マツダスタジアムでも遠征先の球場でも、半分ぐらい真っ赤にスタンドを埋めてくれる。期待に応えなければというプレッシャーはある。4連覇のプレッシャーじゃない。

-期待に応えるとは

緒方 勝てばすべてOKなのかと。そんな野球、しようとも思ってない。たとえ負けようと、いい野球やったよと思ってくれるようなものを見せないと。高いお金を払って球場まで来て、見るだけの価値は、こちらも返したいんでね。