阪神藤原オーナー初語り「生え抜きスター作りたい」

チーム運営から将来のビジョンまで、幅広く語った阪神の藤原オーナー(撮影・加藤哉)

<新春インタビュー:前編>

阪神藤原崇起新オーナー(66=電鉄本社会長)が日刊スポーツの新春インタビューに応じた。2回連載の前編は平成から新時代に入る甲子園のあり方に言及。ラッキーゾーンや2軍本拠地の移転問題について初めて明かした。昨季は01年以来、17年ぶりの最下位。再建への情熱がほとばしった。【取材・構成=寺尾博和編集委員、酒井俊作阪神担当キャップ】

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-明けましておめでとうございます。矢野新体制が本格的に動きだします

藤原オーナー 明けましておめでとうございます。昨年11月下旬の球団納会で矢野監督が「5箇条」を話しました。選手に「ファンサービスをやろう」と具体的に話し掛けましたね。喜怒哀楽を表す、お立ち台でハッキリしたことを言う、フロントとも話をしようと。「有言実行」を求められていると感じました。公言するのは、自分のなかで考え直すことになり、自分の励みにもなる。非常にいいことだと思いましたね。

-昨季は2軍監督として1年目からウエスタン・リーグ優勝、日本一に導くなど、手腕を発揮しました

藤原オーナー 以前、矢野監督とお話しするなかでファームで選手が失敗したとき「次、あるんやから、その時しっかりやれよ、こういう言葉を掛けてきました」と聞きました。後悔しても肩の荷が軽くなるし、次にポジティブに迎えられると思いますね。

-平成から新時代になります。甲子園でラッキーゾーンを撤廃した92年以降、阪神から本塁打王が出ません。ラッキーゾーンが復活する可能性はありますか

藤原オーナー いまの広々とした球場が前提で、これまでのチーム編成をしています。そのあたりはフロントとチームがいろいろ考えて、話があれば聞きたいですね。ただ、阪神だけで決められません。やはり、高校野球があります。昨年の夏は100回大会。この球場で、あの盛り上がりだったわけです。小さく手を加えて変えたり、他の球場みたいに簡単にはできないと私は思っていますね。

-ラッキーゾーンは継続の検討課題になります

藤原オーナー そうですね。フロント、チームが、その時々の戦力を見ながらいろいろ話し合うと思います。ただ、いったん撤廃して、また設置しました、例えば3年でまた撤廃しました、というのはできないでしょう。それに、高校野球でもあれだけ、本塁打数が出ていますから。1人で何本も飛ばす選手もいます。阪神タイガースの問題と高校野球。日本国中、みんな見守るなか、その問題を話し合わないといけない。

-観客動員数は安定しますが、今後も甲子園のサービスが求められます

藤原オーナー 継続的な努力が必要です。今回はバックスクリーンのビジョンを大きいものに取り換えます。いろんな表現の仕方ができるということですね。新しいビジョンで、もっとエキサイティングになれる仕組みを考えないといけません。いろんなデータもあるし、画像もあります。野球の楽しみ方をご提供するという意味で、球場と一体化しないと発展できません。お客様と選手の間を取り持つデジタルでないと意味がないと思っています。

-2軍本拠地の鳴尾浜は94年の完成当初から手狭になり、老朽化しています

藤原オーナー 狭いといいますか、設備が古くなっているのもありますね。

-近年は移転の話題も出ています

藤原オーナー まだ検討中で、具体的な場所も決まっていません。首都圏は高速道路が走っていますから1時間走れば、確実に1時間で行けるところが多くありますが、関西はインフラがそこまで整ってません。あくまで私見ですが、できれば、阪神間であれば一番いい。ファンに近いところで、特に1軍が試合する甲子園に近いところ。やっぱり、それがいいですね。現状は鳴尾浜を一部改修していますが(新施設の)必要性は大いに感じています。

-育成で生え抜きスターを作りたい

藤原オーナー 基本的にはドラフト制度が中心になります。そこで育成していくのが王道だと思います。生え抜きスターを作りたいですね。広島さんはやりましたし、日本ハムさんもそういう意味ではやっていらっしゃる。できないことはないと思っていますね。

◆藤原崇起(ふじわら・たかおき)1952年(昭27)2月23日生まれ。大阪府立大から75年に阪神電鉄入社。常務取締役などを経て、11年4月に代表取締役社長、阪神タイガース取締役、同年6月に阪急阪神ホールディングス取締役に就任した。17年4月から阪神電鉄の代表取締役会長、同6月から阪急阪神ホールディングス代表取締役を務め、同12月から球団オーナー代行者。昨年12月1日付でオーナーに就任した。