日本ハム吉田輝星の知性感じた得意のスライダー封じ

ブルペンで投球する日本ハム吉田輝(撮影・黒川智章)

乾いた捕球音がブルペンに響いた。並び立つ同期は夏の甲子園V腕、ドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)。吉田輝は競うように、でも落ち着いて「6割くらい」の力で右腕を振った。「まだ1日目なので、感覚はあまりつかめなかった。50点くらいです」と評価は辛口。思わず柿木に「今日は良くなかった」と本音をもらしたが「カーブは良かったやん」と励まされ、笑顔が戻った。

投球練習は「約2~3週間ぶり」。マウンドの傾斜に苦戦しバランスを崩す場面もあったが、すっくと立つセットポジションから、立った捕手に向かって直球主体に23球。3球だけ投げた縦に割れるカーブは「想像に近い感じ」と及第点だ。「ストレートのフォームが悪くなってリスクが高くなる」と、あえて得意のスライダーを封じたところに知性を感じさせた。

捕手が座るのは当分先になりそうだ。「自分が納得するような強い勢いで、キャッチャーミットを貫ける球が投げられるようになったら」。冷静に自己分析し、明確な指標を持っている18歳。ハートの軸も決してぶれない。【中島宙恵】