もう1つの甲子園も熱い。ゲームの祭典「闘会議2019」が26日、千葉・幕張メッセで始まった。
27日には日本野球機構(NPB)が後援し「第4回スプラトゥーン甲子園全国決勝大会」が行われる。5月18日からは「NPB eスポーツシリーズ スプラトゥーン2」が開催予定。甲子園でスカウトされたチームがプロ12球団を代表して競い合う。野球界も熱視線を向けるeスポーツ界の大人気タイトルとは? 食わず嫌いの皆さんへ「スプラトゥーン講座」です。
Q1 スプラトゥーンって何?
任天堂から発売中の対戦型シューティングアクションゲームです。「イカ」と「人間の姿」を操作。イカが墨を吐くように、さまざまな道具を使い分けて、街中にインクを塗り合います。愛称は「スプラ」。覚えると格好いいです。
Q2 人気なの?
大ブームです。売上本数は全世界で約750万本(18年9月末の任天堂の決算資料より)国内で約300万本(19年1月20日時点。ファミ通・comより)。スーパーマリオ・シリーズ、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーに肩を並べるほど売れてます。
Q3 なぜ人気なの?
とんでもなく面白いからです。TPS(※1)と呼ばれるジャンルに入りますが、打ち合うドキドキ感があります。子どものころにやった「水鉄砲遊び」の感覚です。物陰に隠れて狙うもよし、一気に突っ込んで攻めるもよし。もちろん“燃料切れ”もあり。水道場で水をためているうちに、ビショビショにされた経験ありますよね。射程やインクをためられる量の違いがある「ブキ」の豊富さも楽しさの要因です。
Q4 ルールは?
平たく言うと陣取りゲームです。基本ルールは「ナワバリバトル」と呼ばれる4対4のチーム戦。他にもルールがありますが、甲子園やNPBでの採用はこれ。さまざまなステージ内でお互いのチームカラーのインクを塗り合い、一定時間内に塗った面積(ナワバリ)の広さを競います。
Q5 それ以外は?
4対4のチーム戦も面白さです。作戦を練り、塗りまくる。攻める前衛、塗りを固める後衛の役割分担。ステージや相手に応じた戦術が重要です。最新の「スプラトゥーン2」は無線通信に対応。子どもたちは公園に集まり戦っています。
Q6 近くに仲間がいない時は?
オンラインでの対戦が熱いです。月額300円(12カ月契約などで割引あり)の「Nintendo Switch Online」に加入すると、世界中と対戦できます。仲間同士でもプレーできますが、1人の時は自動でチームも対戦相手もマッチング。ニッカン2日分の値段で、気軽に楽しめます。
Q7 飽きない?
トッププレーヤーは8000時間以上プレーして飽きないそう。昔のゲームはステージをクリアしたら終わりでしたが、スプラはチームで対戦。アイテムやステージのアップデートもあり、常に更新されます。戦略を考えたり、仲間と話し合う人対人のコミュニケーションが根底にはあります。だから「甲子園」ではドラマが生まれます。
Q8 甲子園って何?
スプラ界の青春です。全国大会ですが、賞金は出ません。ただ純粋にゲームを楽しみ、腕を競う。年齢や性別は不問。各チームが話し合い、途方もない時間を費やして、練習を行っています。「汗と涙」「友情・努力・勝利」で誰でも頂点を目指せます。
Q9 肝心の値段は? 何のゲーム機でできるの?
「2」ができるのは、任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」だけです。1台でできるのは1人だけ。ゲーム機とソフトが一緒になった「スプラトゥーン2セット」の希望小売価格は3万5960円+消費税です。
Q10 お父さんにできる?
やる気次第です。ファミコンのころと違って、平面だったゲームは3Dの立体になっているので、少し戸惑うかもしれません。でもルールは単純だし、ボタンだけでなくコントローラーを動かす直感的な操作もあるので、慣れればハマります。ただ、お子さんと一緒にやるならばゲーム機とソフトはそれぞれ2つ必要になります。
Q11 そもそも、スプラトゥーンってeスポーツ?
スプラトゥーン甲子園は「eスポーツ」という言葉が一般化する前に始まった大会です。「eスポーツ」とは「対戦型ゲーム競技」全般を指す言葉。現実のスポーツ界では、野球、サッカー、ラグビーなどをまとめて「球技」と呼ぶような使われ方です。ゲームソフトが異なれば、競技性もルールも異なり、何もかもが変わります。eスポーツ界が発展し始めたばかりの国内では、広範囲すぎるほどの一緒くたに使われているのが現状です。勝利を追求して競技性を高めることを目的にする大会もあれば、老若男女が楽しめる生涯スポーツのような大会も。プロ野球もあれば、草野球もある。無限に広がっていくタイトルの中で「eスポーツ」をどう定義するのか。考えていく必要があると感じます。【構成・島根純】
(※1)サードパーソン・シューティングゲームの略称。主人公を頭上後方から見下ろす視点のゲーム。若者に人気の「Call Of Duty」「グランド・セフト・オート」など。