日本ハム栗山監督「普通に楽しみ」吉田輝星VS柿木

バレンタインデーで贈られた「サーターアンダギー」を互いに食べさせるポーズを見せる日本ハム吉田輝(左)と柿木(撮影・江口和貴)

昨夏の甲子園大会決勝を、南国沖縄で再現だ。日本ハム栗山英樹監督(57)が14日、沖縄・国頭で予定している16日の1、2軍合同紅白戦で、甲子園準V右腕のドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)と、同V右腕のドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)のルーキー2人を、それぞれ先発起用すると明かした。1イニングほどと投球回数は限定的だが、注目の対決で2人の力量を測る。

再び“夢の対決”が実現する。1次キャンプ地の米アリゾナから2次キャンプ地の沖縄・名護入りした日本ハム栗山監督が、16日紅白戦の先発に、昨夏の甲子園大会決勝で対決した2人のルーキーを指名した。準優勝に終わった吉田輝と、優勝投手の柿木だ。「夏の甲子園の再現って、あんまりないんだよね。楽しみだよね? 普通に考えて楽しみじゃない?」。指揮官の目が少年のように輝いた。

チームとともに14日早朝に帰国し、息つく間もなく車で約40~50分の国頭村へ。両ルーキーのブルペン投球を視察し「思った通り。いい時のボールはうなりを上げる」と吉田輝を評価した上で、紅白戦での“先発対決”を2人に伝達した。「(反応は)いい感じだった。驚いている感じはなかった」と、堂々とした2人の振る舞いに感心した。

米アリゾナで行った紅白戦では斎藤対清宮の“早実対決”を実現して注目を集めたが、次々に飛び出す栗山流の演出は単なる話題作りのためではない。「今年は勝ちきらないといけないシーズンで、想定通りの戦い方では一気に走れない」と新たな力の台頭を求める中で、チーム内の競争に刺激を与える狙いがある。

今回のケースでは、吉田輝や柿木以上に、若手投手陣への効果を期待。この日の2軍ブルペンでひときわ目を引いたのは、ルーキー2人と並んで投げ込んだ高卒2年目の田中瑛で「プライドがあるんだろ。すっげー、いい球を投げていた。それが大事。それがチーム力につながる」。他の選手の危機感をあおり、プラスαを生み出す構図だ。

もちろん、生粋の“野球好き”だからこそ思いついた夏の甲子園大会決勝の再現。「日本の野球界に対して、何かメッセージを送ってくれると思う」という注目の対決の陰で、知将はしっかりとチーム力を蓄える。【中島宙恵】

◆18年夏甲子園決勝VTR 大阪桐蔭は主戦柿木が、打線の援護を受けながら5安打2失点で112球の完投。甲子園の春夏連覇に大きく貢献した。秋田県勢103年ぶりの決勝進出を果たした金足農エース吉田は、5回12安打12失点。秋田大会から10戦連続で完投していたが、初の途中降板だった。

◆甲子園決勝の再現メモ 春夏の甲子園決勝で投げ合った投手がプロで先発対決した例は過去5組ある。最近は早実出身の斎藤(日本ハム)と駒大苫小牧出身の田中(楽天)が対戦。06年夏の決勝では斎藤が勝利投手になったが、プロで先発対決した3度はすべて田中に軍配が上がった。