侍稲葉監督が五輪金へ世界行脚 不安解消へ情報収集

侍ジャパン稲葉監督(2019年3月10日撮影)

東京オリンピック(五輪)開幕(20年7月24日)まで、12日で残り500日となった。野球の侍ジャパン稲葉篤紀監督(46)は悲願の金メダルに向け、500日計画を立てた。就任1年半の折り返し地点を経て「五輪の借りを五輪で早く返したいという気持ちと、その準備期間として500日で足りるのかという不安がある」と素直な心境を吐露。それでも「見る作業」をテーマに世界中を巡り、28年ロス五輪への競技復活へ「金メダルを獲得することが一番その期待に応えることになると思う」と誓った。

   ◇   ◇   ◇

プレ五輪イヤーの初陣メキシコ戦を終え、稲葉監督は折り返し地点を通過した胸の内を明かした。17年7月に代表監督に就任。3年スパンで悲願の金メダル獲得の任務を託された。節目を迎え「ここまでの月日が流れたのかという感覚。『もう500日』と『まだ500日』という両方の思い、そして五輪の借りを五輪で早く返したいという気持ちと、その準備期間として500日で足りるのかという不安がある」。交錯する思いを言葉に変換した。

重圧を受け止めつつ「金メダル500日計画」を推進する。まずは足で情報を稼ぐ。「自国の選手は当然のこと、これから対戦すると思われる他国の選手も含めてとにかく“見る”ことを自分自身のテーマにしたい」。今夏は韓国、台湾リーグ、五輪出場権のかかるイタリアでの欧州・アフリカ予選を行脚する。今春キャンプ視察でもNPB所属の外国人選手を観察し、生情報を得た。

日本固有の無形の力も培っていく。「チームとしてのテーマはこれまで再三伝えている“結束力”! 集合する回数も限られている中で、どれだけ“結束力”を高められるか」。次回の代表集合となる11月のプレミア12は、絆を深める希少な機会となる。「当然、プレミア12のチームが五輪のチームの基礎となるが、各選手の状況や状態により変わってくることがあるので、これまでの経験を踏まえた上で大いに熟慮していく」。現在までに稲葉ジャパンで70選手を起用してきた。残り1シーズン半で生まれる新芽を加味して、最強の集団を形成していく。

公開競技だった84年ロス五輪で金メダルを獲得。だが正式種目になってから悲願は遂げられていない。12年ロンドン五輪から2大会連続で除外。東京五輪で復活も24年パリ五輪で再び消滅する。28年ロス五輪での再復活へ「東京五輪で金メダルを獲得することが一番その期待に応えることになると思う。この目標を達成すべく、残り500日を全力疾走する」と誓う。36年ぶりの金メダルへ日々、歩を進める。【広重竜太郎】