圧巻0封!菅野にすごみ前回6失点でエース矜持に火

ソフトバンク対巨人 5回裏ソフトバンク2死、菅野は福田の折れたバットを避けながら投ゴロを処理する(撮影・垰建太)

<オープン戦:ソフトバンク3-4巨人>◇14日◇ヤフオクドーム

開幕投手を務める2人が、日本球界最高峰の投手戦を展開した。巨人菅野智之投手(29)は、6回を68球で内野安打2本、無四球の無失点に抑える貫禄の投球。対するソフトバンク千賀滉大投手(26)も7回を88球で内野安打1本、無四球の無失点に抑え込んだ。17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でチームメートとして戦った両右腕の初めて投げ合い。大役に向け、万全の調整ぶりを見せつけた。

    ◇    ◇    ◇

試合開始2分後に、濃密な戦いを確信した。1回表。菅野は、三塁側ベンチから千賀の投球を眺めた。電光掲示板に躍った157キロの文字に、心を動かされた。「初回からすごいボールを投げていましたし、負けられないなと思った」。1回裏。先頭の上林から150キロの速球で空振り三振を奪い、今宮には、この日最速の151キロを計測。投げ終わりに右足を高く蹴り上げるほど、力を込めた。

威力のある球を制御した。ベース板の両コーナーいっぱいに速球を並べ、左打者の内角、右打者の外角へカットボール、スライダーを操った。5回まで50球で、15人の打者を片付けた。唯一のピンチは6回無死二、三塁。64球目で小林のサインに初めて首を振り、選んだスライダーで甲斐を空振り三振。後続も断ち切り「今日は納得できるボールが多かった」と手応え十分の68球だった。

自然とボルテージが上がった。2年前のWBC準決勝。ともに日の丸を背負い、米国に立ち向かった3歳年下の戦友へ、最大級のリスペクトを持った。初の投げ合いに「本能的に、あれだけのピッチャーですから」と胸が騒いだ。「僕に持っていないところを全て兼ね備えていると思いますし、彼が持っていないものを、僕が持っていると思います」。剛球には、熟練の制球力で立ち向かった。

前回登板の8日オリックス戦では4回9安打6失点。オープン戦自己ワーストから5日間、キャッチボールから基本を見つめ直し、コンディションも整えた。「今日、あまり大きな課題が出すぎるのも良くない。自分の中で危機感を持って投げたつもりです」と、内容と結果の両立という自身の要求を満たした。「すごく刺激的な試合でした。残された時間も限られている。やり尽くしたと思って、開幕戦を迎えられるようにやっていきます」。胸と胸のぶつけ合いから得たものを、2週間後のマウンドへとつなげる。【桑原幹久】

▽巨人坂本勇(千賀に)「すごい球を投げていましたね。あれだけの球を開幕前に見ることができてよかったです」

▽巨人原監督(菅野について)「粘り強く、ノーアウト二、三塁でも点を与えなかったところに、ピッチャーは点を与えないのが仕事なんだと思います。彼は自分の役割は分かっている」