楽天、昨季最下位から逆転だ投打キーマン必勝の誓い

守護神奪還を狙う楽天松井

<みちのくプラス>

楽天投打のキーマンが、復活を期すシーズンが始まろうとしている。守護神奪還を狙う松井裕樹投手(23)と野球人生初の主将を務める銀次内野手(31)、侍ジャパンに初選出されセットアッパー定着を誓う森原康平投手(27)。昨季最下位に沈んだチームにあって、ひときわ悔しい思いをしてきた男たちは、強い思いで29日のロッテとの開幕戦(ZOZOマリン)を待つ。

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松井が並々ならぬ決意とともに開幕を迎える。昨季は抑えの座をハーマンに譲り、2軍落ちも味わった。史上最年少での100セーブ達成も9月までずれ込み、抑え転向から3年連続でクリアしてきた30セーブに届かなかった。開幕戦の9回に追いつかれ、苦しみ抜いた1年だった。くしくも、今季もビジターのロッテ戦という同一カードから始まる。「やり返すいい機会。日程が出てから、抑えを勝ち取らないと、という思いは強くなった」と話す。

ほぼ無休だったオフから「今ある球種を磨く」というテーマのもと、投球をブラッシュアップ。曲がりを抑えた高速タイプに改良した宝刀スライダーとの組み合わせを考慮し、緩急をつけるカーブへの意識も高めた。松井にとって自然と理想的な投げ方ができる球種でもあり、試合中でもフォームの乱れを整えられる側面もある。キャンプ中に腰の張りを訴え離脱する期間こそあったが、問題なく仕上げてきた。オープン戦は5試合に登板して無失点。5イニングで許した安打は2本、四死球はゼロだった。

昨年12月に女優石橋杏奈(26)との結婚を発表した。「(18年は)打たれる姿ばかり。勝利の瞬間、マウンドに立っている姿を見てほしい」。3月に入ると、自主トレをともに行うエース則本昂大投手(28)が右肘を手術することが決まった。前半戦の復帰は絶望となり「チームがいい順位でやることが、則本さんの復帰のモチベーションになる。みんなで戦っていく」。あらゆる気持ちを込め、9回のマウンドに君臨する。【亀山泰宏】

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勝利の方程式に頼もしい男が帰ってきた。セットアッパー候補の侍ジャパン森原が、万全の状態で3年目を迎える。150キロ超えの直球にフォーク、スプリットもさえ渡る。10日のメキシコ戦では1回無失点。日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏(51)も「今回目についたのが森原。外国人にあのフォークは非常に有効。しっかりコントロールして落とすことができていた。加えて真っすぐも速い」と絶賛するほどだった。

新人の17年に、主に勝ちパターンの7回を任せられ42試合に登板。しかし昨季は3月に右肘クリーニング手術を行い、全治4カ月の地道なリハビリを経て8月に復帰した。17試合中16試合で直球の平均球速が150キロ以上、奪三振率も10・06と前年を上回るまで回復していた。

2月18日に人生初の日本代表にサプライズ選出。楽天平石監督も「真っすぐの強さは戻っているし、スプリットとフォークは1年目よりいい」と太鼓判を押す。そして「侍でいろいろ刺激を受ければ、ものすごい成長できると思う」とさらなる飛躍に期待を寄せた。

昨年から新進気鋭のスポーツブランド「UPSET」(アップセット)社とグラブなど用具一式の使用契約を結んだ。「番狂わせ」を意味する社名は、アマ時代はほぼ無名でドラフト5位入団の森原と重なる。昨年最下位に終わった楽天も同様。よみがえった森原が下克上の原動力となる。【野上伸悟】

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チーム生え抜き初の通算1000安打まで残り61本としている銀次が、名実ともにチームを引っ張る。「去年最下位。何かを変えなきゃダメ。主将になって、チームを変えようと思っていますし、自分も進化しなきゃいけない」。決意表明にたがわぬ姿を見せてきた。「時間が足りない。やることがいっぱいあるんです」。キャンプは誰よりも早く球場に姿を現し、誰よりも遅くまでバットを振った。

昨秋に金森1軍打撃チーフコーチの指導のもと、下半身主導でボールを引きつけて打つ技術を習得。一塁に加え、三塁再挑戦も意欲的に取り組んだ。オープン戦は規定打席到達選手でチーム2位の打率3割8厘をマークして競争を勝ち抜いた。「目標3割3分。もう1回、首位打者争いを。どんな場面でもみんなで前を向き、最後まで諦めない野球を見せる」。15年以来の打率3割をノルマに、バットマンの誇りを取り戻す。