広島鈴木誠也自らに怒りの決勝弾、下向きベース1周

中日対広島 7回表広島2死一、二塁、中越え3点本塁打を放ち叫ぶ鈴木(撮影・前岡正明)

<中日2-3広島>◇3日◇ナゴヤドーム

4番が連敗を3で止めた。1点を追う7回2死一、二塁。広島鈴木誠也外野手(24)が中日祖父江の外角直球をしばいた。打球はセンターバックスクリーンへ一直線。前日は好機で空振り三振を喫した右腕にリベンジの2号逆転3ランで、単独最下位の脱出に成功した。

丸が抜けた今季、4番として打線を引っ張る覚悟を決めた。だが、今季1号の3月30日巨人戦も、1試合2打点の31日巨人戦も、チームは敗戦。前日2日は4打数無安打。チームの3連敗、単独最下位の責任を感じていた。この日も6回まで3打席凡退。1回の守りでは中堅野間との連係不足から適時三塁打を許した。ふがいなさに怒りすら感じていた。決勝弾は「集中していたので覚えていない」。研ぎ澄まされた集中力で失投を捉えた。ベース1周は下を向いたまま。一塁、三塁両コーチとのハイタッチにも怒りが感じられた。

一昨年まではベンチで悔しさや怒りをあらわにしていた。だが4番を任され、負の感情は胸にしまった。広島の先代の4番新井氏から「子どもたちが見ている」と指摘され、OB黒田氏からも「若手の手本となれ」と激励された。丸という相棒がいなくなった今季、24歳の4番は選手としてさらなる成長が求められている。

8打席ぶりの安打が今季初の勝利打点となった。緒方監督が「さすが4番打者」とたたえた。だが、鈴木は表情を引き締める。「連敗が続いていたので阻止できたのは良かった。シーズンはまだ始まったばかり。1戦1戦やっていく」。再びチームを頂点に導き、真の4番となる。【前原淳】