五十嵐「目頭が熱く」ヤクルトでは10年ぶり勝利

ヤクルト対中日 スタンドの声援に手を振り応えるヤクルト五十嵐(撮影・中島郁夫)

<ヤクルト8-7中日>◇5日◇神宮

ソフトバンクを戦力外となり今季ヤクルトに復帰した五十嵐亮太投手(39)が、09年10月7日の横浜戦以来、約9年半ぶりとなる古巣での勝ち星を挙げた。「3人で抑えれば同点、逆転につながると信じてマウンドに上がりました」。1点を追う8回表に登板。3連投のマウンドにも「もう22年間、中継ぎをやり続けているので」と気後れすることなく阿部を空振り三振、亀沢を二飛、大野奨を中飛に切って、味方の反撃につなげた。

打線はその裏、西浦の中前2点適時打で逆転。最後は守護神石山を投入して逃げ切り、五十嵐に久しぶりの勝ちがついた。記念のウイニングボールをもらい、お立ち台でファンに「ただいま!」と叫ぶと「正直、信じられない。いろいろ去年の今頃とか、オフの頃のこととかを考えると目頭が熱くなって。泣かないようにしましたけど」と感慨にふけった。

大リーグ・メッツなどでも投げたリリーフ右腕。だがここ数年は納得のいくフォームを見失っていたという。昨年は腰を痛め、踏み込む左足にうまく体重移動ができないこともあった。そんなピンチを救ったのが、かつて「ロケットボーイズ」として快速救援コンビを組んだ石井弘寿投手コーチだった。

入団当時から五十嵐のことを知る同コーチの助言をゼロから受け入れ、ブルペンでも1球1球「どうでしたか?」と確認。その結果、左足にしっかり体重が乗る投げ方が再びできるようになったという。「石井コーチなしでは今のピッチングはできてない。新たにコンビを結成したいです(笑い)」とジョークで感謝の気持ちを表現した。【千葉修宏】