王者広島が波乗れず…打てず守れず単独最下位逆戻り

広島対阪神 5回表阪神2死二塁、九里(左)は大山に適時二塁打を浴びて降板する(撮影・栗木一考)

<広島0-9阪神>◇7日◇マツダスタジアム

王者が乗れない。広島が阪神戦で今季初の完封負けを食らい、10年以来9年ぶりに開幕から3カード連続負け越しとなった。相手先発西にわずか6安打に封じられ、守っては今季最多9失点、最多被安打13。守備でもほころびが目立ち、単独最下位に逆戻りした。緒方孝市監督(50)は今季ホームゲームで初めて囲み取材に応じず、広報を通じ「次から切り替えてやるだけ」などと話した。

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広島の歯車がかみ合わない。初回1死満塁の先制機。阪神西を崩す絶好のチャンスで、松山が一塁併殺打に倒れた。東出打撃コーチが「あれがすべて。ばくぜんと打ちにいってしまった」と断じるキーポイント。好調の4番鈴木が四球で歩いた直後の5番打者がチャンスをつぶし、流れを失った。そのまま、散発6安打で完封を許した。

今季、緒方監督は打順を固定せず、戦いながらベストの形を追求していく方針を打ちだしている。開幕9試合で、先発オーダーは8種類目。3番には西川、野間の2人を起用。5番には松山、バティスタ、安部の3人を送り出している。この日の5番には、西攻略のキーマンとして左の松山に白羽の矢を立てていた。

守備も乱れた。4回、遊撃田中広が福留の当たりを捕球しそこね、失点を呼んだ。7回2死二、三塁では、中谷の強い当たりがイレギュラーするところを、半身の三塁安部が捕球できず決定的な2失点(記録は左安)。今季失策はセ・リーグワーストの11。記録にならないミスも目立ち、山田内野守備走塁コーチは「失点につながるのはつらい。反省するところを反省して次に生かしましょうということ」と話した。

投手陣も九里が5回途中まで必死に粘ったが、リリーフ陣が踏ん張れなかった。2番手レグナルトが適時打を許し、その後も失点が続いた。打のほころびがきっかけとなり、投も守もリズムをつかめない。悪循環というしかない。

緒方監督は今季ホームゲームで初めて囲み取材に応じず、広報を通じ「今日は何もありません。また次から切り替えてやるだけです」と話した。島内、坂倉を降格し、磯村、藤井皓を昇格させ9日からのヤクルト戦に臨む。早く本来の姿を取り戻したい。【村野森】

▼広島の今季チーム得点圏打率は1割5分5厘で、セ・リーグ最低。通算チーム打率2割3分3厘(セ4位)を大きく下回る。11本塁打は巨人12本に次ぎ2位だけに、1発頼みの苦しい展開が続いている。また、11失策もリーグ最多で、試合数9を上回っている。