ソフトバンク栗原、甲斐超えへ磨いたバットでV打

楽天対ソフトバンク 10回表ソフトバンク2死一、三塁、栗原は中前適時打を放つ(撮影・足立雅史)

<楽天0-1ソフトバンク>◇13日◇楽天生命パーク

伏兵の活躍で首位決戦を1勝1敗のタイに持ち込んだ。ソフトバンク栗原陵矢捕手(22)が10回に代打で決勝のプロ初タイムリーを放った。5年目捕手にとって、プロ2安打目、初打点となる一打で投手戦にけりをつけた。柳田ら主軸が不在の中、総力戦を制し、楽天と首位で並んだ。

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寒さも忘れるような緊張感の中、打席に立った。「まず振らないと、緊張が取れないと思った。何でも振ってやろうと思っていました」。今季2試合目の出場となった栗原はガムシャラだった。10回表2死一、三塁。楽天ハーマンの初球ストレートを鮮やかに中前に運んだ。0-0の均衡を破り、試合を決めた。「やっとチャンスが来たか、と思って燃えていた。(今までは)チームが勝ってもうれしいけど、悔しさがあった」。心からの笑顔で勝利の輪に加わった。

5年目捕手。追いかける存在である甲斐の背中は遠くなった。それでも「3番手と言われているが、1番手を狙っていきたい」。目指すはベンチ入りではなく、正捕手だ。甲斐を超えるために、打撃を磨いた。今年1月には長崎県内で和田ら投手陣との自主トレで配球などを学び、打撃は同地で練習する中村晃の組に加わった。「いいとこ取りです」と実績のある主力選手から貪欲に吸収した。キャンプでは一塁守備にも挑み、最近では工藤監督の指示で外野ノックも受けている。成長した打撃面への首脳陣の評価は高く、第3捕手だけではない役割を探り、可能性を広げている。

開幕後はアクシデントにも見舞われた。2日からのオリックス戦、大阪遠征中に福岡・筑後の選手寮でインフルエンザがまん延した。甲斐野らとともに、1軍の寮生は本拠地の試合でもホテル暮らしが続く。栗原は「困っているのはパンツ。コンビニで買い足しています」と苦笑い。球場外での苦境とも戦っている。

チームは9日から柳田を欠き、苦戦続きだが連敗はない。一丸での勝利に工藤監督は「大きいですね。みんなが帰ってきた時にチーム力が上がる」とうなずいた。14日で5球団との対戦は一巡。総力戦で主砲不在の難局を乗り越える。【山本大地】

 

▼ソフトバンク栗原が、延長10回に決勝打。栗原はこれがプロ初打点。プロ初打点が決勝打は、ソフトバンクの現役選手では、15年8月25日ロッテ戦の6回に逆転満塁本塁打を放った上林、14年8月9日の日本ハム戦で、延長10回にサヨナラ犠飛を打った塚田らがいる。また、日本ハム時代の川島は、06年4月15日のソフトバンク戦の延長12回に、遊ゴロでプロ初打点&決勝打(1-0で勝利)をマークしている。