若き主砲覚醒!阪神大山連発で平成最後のG戦に弾み

ヤクルト対阪神 1回表阪神1死一、二塁、大山は左越えに先制3点本塁打を放ち筒井一塁コーチ(左)の祝福を受ける(撮影・小沢裕)

<ヤクルト5-13阪神>◇18日◇神宮

阪神が、若き主砲の覚醒で首位ヤクルトを圧倒した。大山悠輔内野手(24)が初回に2戦連続の先制3ランを放つと、3回には2打席連発の4号ソロ。開幕から打撃不振に苦しんだ男が引っ張り、チームは合計5発で今季最多の13得点。19日から始まる平成最後の巨人戦(甲子園)に向け、弾みをつけた。

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捉えた瞬間、ベンチもスタンドも両手を突き上げた。バットを振り切った大山が、ゆったりと走りだす。目で追いかけた白球は左翼席に着弾した。「ファーストストライクからしっかり強く振ることができたことで、甘い球を仕留めることができた」。初回1死一、二塁の好機で、ヤクルト先発大下の4球目をバットに乗せた。左翼席の虎党へ、先発岩田へ、4番が白星をプレゼントだ。

勢いは止まらない。3回には2打席連発の4号ソロを左翼席へ突き刺した。「前の打席と同じように思い切りました」。持ち味は思い切りのよさ。ただ、4番に座ってからはマークが厳しく、思うようにバットを振らせてもらえなかった。フルスイングが影を潜め、「試合の中でイメージと違っている部分もある」と苦悩の日々も過ごした。スイングのこだわりは「形ですね」という。撮影した動画をチェック。「癖を細かく分析していかないと」。首脳陣に教えを請い、あるときは裏方スタッフの言葉に耳を傾けた。熱心に自らの現在地を確認したからこそ今がある。

17年の新人時代から4番を任された逸材だが、4番を打って3年、42試合目にして「4番V弾」は初めてだった。4回にも左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、今季初の猛打賞。浜中打撃コーチは「自分にも経験があるけど」と前置きした上で「4番として初めて仕事ができたと思っているんじゃないかな。練習でもスイングの形がよくなってきた。自信が出てくると思う」と、和製大砲候補にさらなる期待を込めた。

口にしたことを実現するために、バットを持つ。「(打っても)勝たないと意味がない。勝てるように頑張ります」。4番が宣言通りの活躍で、19日からの「平成最後の伝統の一戦」に弾みをつけた。【真柴健】