アドゥワ窮地救った初先発「大したものや」監督称賛

広島対中日 中日打線を相手に力投するアドゥワ誠(撮影・栗木一考)

<広島-中日>◇23日◇マツダスタジアム

広島の3年目右腕アドゥワ誠投手(20)がチームの窮地を救った。中日戦でプロ初先発の大役を担い、7回6安打2失点の力投。勝ち星こそ付かなかったが、196センチから投げ下ろす直球などで好調中日の勢いを止めた。昨年4月23日に死去した偉大なるOB衣笠祥雄氏の一周忌だったこの日、チームは3-2で今季2度目のサヨナラ勝ちを収めて5連勝を飾った。

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初球に食らった先制パンチにも、招いたピンチにも、動じない。何よりプロ初の先発マウンドにも、アドゥワは堂々としたマウンドさばきをみせた。

先発デビューの初球を中日平田にセンターバックスクリーンにたたき込まれたが、強心臓ではね返した。その後も9球ストライクを続けるなど、ストライク先行を心掛けた。1点リードの5回、平田にこの日2本目のソロを運ばれても慌てない。後続を断ち、勝ち越しは許さなかった。7回、4度目の対戦となった平田を中飛に打ち取るなど、105球を投げ抜いての降板だった。

「立ち上がり先頭打者に打たれましたけど、とりあえず粘ろうと思った。四球も多かったけど、要所で低めに集めてゲッツーを取れた」

チームの窮地を救った。この日、4番鈴木がコンディション不良で欠場。チーム内に動揺は多少なりにあった。ただ、立ち上がりからテンポのいい投球がチームに落ち着きを与え、7回2失点で試合をつくった。その力投が今季2度目のサヨナラ勝利を呼び込んだ。

昨年は中継ぎで53試合に登板。日本シリーズのマウンドにも立った。「どこに投げたら打たれるとか、自分でも考えて投げられるようになってきている」。昨年に得た経験は、先発で生きた。

先発陣の危機も救った。開幕から先発陣は苦しい投球が続き、開幕ローテの岡田は2軍降格。九里は中継ぎ転向となった。託されたプロ初先発で堂々の投げっぷり。広島先発では大瀬良、床田がともに3度、野村が2度しか達成していなかったクオリティースタートをクリアした。緒方監督も手放しでたたえた。「アドゥワも大したものやね。よくしっかり投げてくれた。次も行ってもらうよ。もっともっとイニングも投げられそうだしね」。12連戦を前に、生きのいい先発が加わった。【前原淳】

 

▽佐々岡投手コーチ(先発アドゥワに)「7回までしっかり投げてくれた。カーブが使えず投球の幅が狭まったが、スライダーがある程度良かった。先発に1枚入ってくれるのは大きい」

▽広島磯村(中日平田に2発を許し)「同じ打者に、同じ球種を打たれたのは反省。(アドゥワは)ピンチになってもここぞで低めに投げてくれた。もともとゴロを打たせられるタイプ」