法大・鈴木「まぁいっか」高校先輩の教訓生かす1勝

慶大対法大 先発し力投する法大・鈴木(撮影・大野祥一)

<東京6大学野球:法大5-4慶大>◇第3週第2日◇28日◇神宮

法大はリーグ戦初先発の鈴木昭汰投手(3年=常総学院)が初勝利し、1勝1敗とした。

毎回安打を浴びながらも、140キロ台前半の真っすぐを中心にキレのいいスライダーとチェンジアップで6回2/3を4失点。粘りの投球を見せた。「内容に納得はしているわけじゃないけど、今日は試合をつくれてよかったと思う」と満面の笑みを浮かべた。

常総学院では2年からエースを務め、2年春、3年春夏と甲子園出場。プロからも注目される逸材だった。しかし、法大に進学すると、1年秋に中継ぎで3試合、6回1/3に登板しただけ。調子が上がらず、昨年は登板機会がなかった。

同級生はどんどん神宮で結果を出していく。「自分は何をやっているんだろう。大学野球はこんなに辛いものかと思った」と落ち込んだ。「でも、やる以上は『1番』になりたいと思った」と自分を奮い立たせ練習に没頭。「いつか、自分も神宮のマウンドで勝つんだ」と言い聞かせた。

ときに練習に打ち込み過ぎる鈴木に、声をかけ続けてきたのは同じ常総学院の先輩、宇草孔基外野手(4年)だった。「去年の昭汰は、とにかく『やらなきゃ、やらなきゃ』って頑張り過ぎていた。昭汰はちゃんとやっているから。『まぁいっか』っていう気持ちも必要だよ、ってよく話しました」。

4回2死から本塁打を浴び、ベンチに戻ってきた鈴木は、宇草に「『まぁいっか』ですよね!」と笑顔を見せたという。「今日の昭汰は落ち着いていた。やることはやってきたんです。それが粘りの投球につながったんだと思う」と後輩の活躍を喜んだ。

今年、鈴木はリーグ戦前に新調したグローブに「牙」と刺繍を入れた。チャンスがきたらしっかり戦えるように。常に牙を磨いておく、という意味を込めた。練習で鍛え上げた自信の投球を見せる。「牙」が力を発揮するときだ。