中日大野雄大2勝目、勝敗分けた坂本勇人への1球

2勝目を挙げた大野雄はファンの声援に応える(撮影・丹羽敏通)

<巨人1-3中日>◇30日◇東京ドーム

中日大野雄大投手(30)が、東京ドームの巨人戦では16年6月28日以来となる勝ち星を挙げた。

初回1死から3連打で1失点。なおも1死一、二塁と続いたピンチで左翼・伊藤康の体を張った好守にも助けられ、最少失点でしのいだ。7回2死一、三塁も坂本勇を右飛に。平成22年(2010年)のドラフト1位左腕が平成最後の日に今季2勝目を挙げ、3年ぶりの4月Aクラスを守った。

最後の試練は7回に訪れた。山本に二塁打を浴び、2死三塁で中島に四球。「一番いやなバッター」坂本勇に回してしまった。カウント1-1で捕手の加藤がタイムをかける。対打者に集中していた左腕はなかなか気付かなかったが、3球目を「内角まっすぐ」から「スライダー」に変更。打球は右翼への飛球になった。「坂本選手は速い系のまっすぐが頭にあったと思いますけど。甘めのスライダーだったけど頭になかったということで」と大野雄。この1球が明暗を分けた。

「それが正解かわからないですけど、自分の中ではある程度の失点は大丈夫やと思って、(マウンドに)上がっている。後々それが、ここはゼロで切り抜けるというふうに成長していければいい」と言う。未勝利と苦しんだ昨年があり、今がある。チームリーダーを自覚しながら、勝てない自分を許せず「せっぱ詰まってました」。救ってくれたのは与田監督らの信頼。0勝の投手を信じてくれる首脳陣に応えようと、最善を尽くす。

平成最後の勝利に「いつもとは違う思いで特別でした。秋までいいピッチングを続けられるように。令和ではいっぱいドラゴンズが勝てるように戦っていきます」。令和初の王者が復活ロードの先にある。【堀まどか】