平成戦い抜いたからこそ…緒方監督5位後退も前向く

阪神対広島 投手交代を告げる緒方監督(撮影・上田博志)

<阪神8-3広島>◇30日◇甲子園

広島が3連敗で平成を締めくくった。先発アドゥワ誠投手(20)が6四球で自滅し、5回3失点。救援陣も踏ん張れず、8回にサビエル・バティスタ外野手(27)が「平成ラスト弾」となる4号3ランを放ったが及ばなかった。首位に4・5ゲーム差の単独5位に後退。それでも緒方孝市監督(50)は前だけを見据えた。平成の借りは、令和で返す。

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緒方監督が勝負をかけた打線が沈黙を続けた。

不調の田中広を1番、頭部死球から復帰した松山を5番で起用したが、両者とも無安打。投手陣の失点をカバーできない。8回にバティスタが4号3ランを放ったが、反撃もそこまでだった。試合後、2人の打撃コーチと今後について話し合った模様。田中広について「状態がよくないのが続いている」、松山について「内容がよくなかった」と話し、静かにバスに乗り込んだ。

平成の時代を勝負に明け暮れてきた。カープ一筋。現役時代は95年から3年連続で盗塁王に輝き、俊足強打の外野手として一時代を築いた。一方でけがとの闘いも続き、何度も体にメスを入れた。右膝、右足首、腰、右肘に傷痕が残る。監督就任後は16年から3年連続優勝したが、今季は開幕から5カード連続で負け越し、一時は最下位に沈んだ。いいこともあれば、悪いこともあった。

3連敗で5位に後退したが、やることは変えない。ホームゲームでは誰より早く準備を始める。ナイターでも午前8時台に球場入りし、全球団の映像を見て研究を進める。「前のカードだけ見ていても、その選手がなぜそういう状態なのかわからないから」。深酒で気分をリセットするより、徹底的に反省し、研究して次の一手を考える。勝とうが、負けようが、同じだ。

試合前、平成ラストゲームに向け、かみしめるように話していた。「過去を振り返るのか、前を向くのか…。振り返れば(平成は)あっという間。これまで経験してきたことを、新しい時代に生かしていく。令和? 意識せんね。1試合1試合必死にやっているだけだから」。

チーム状態はいいとはいえない。田中広は打率1割6分8厘、松山は1割4分。現状を受け入れた上で、次の一手を考えていく。【村野森】