ソフトバンク大竹涙の1勝 千賀のヒントで状態修正

ソフトバンク対楽天 今季初勝利を飾り、お立ち台で涙ぐむ大竹(撮影・栗木一考)

<ソフトバンク1-0楽天>◇2日◇ヤフオクドーム

ソフトバンク大竹耕太郎投手(23)が、今季5試合目でようやく初白星をつかんだ。

楽天打線を相手に7回を4安打無失点。ここまで4試合で防御率0・89だったが、味方の援護がなく0勝1敗だった。この日は打線が初回に奪った1点を大竹、甲斐野、森のリレーで守り切った。チームは貯金5で、2位楽天との差を1・5ゲームとした。

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涙を抑えきれなかった。お立ち台に立った大竹の目は、質問を受ける前から潤んでいた。「そうですね…。本当に…。今宮さんに打ってもらってうれしいです」。これまで4試合での援護点は4月10日日本ハム戦の2点だけ。今宮からは「次は打つから」と一番声をかけてもらっていた。

この日は1回に今宮の適時二塁打で1点を先制してもらった。今季初めてリードした展開に「余裕がありました」と大胆に投げられた。7回、1死後嶋に10球粘られたが「ストライクを投げ続けられた」と根負けせず最後はカーブで三ゴロに仕留めた。

エース千賀からヒントをもらっていた。4月3日、今季初登板で7回0/3もチームは延長12回0-0引き分け。その翌日、京セラドーム大阪から2人で帰るタクシーの中だった。「ダメな時どうしようもなくなる。そういう時どうしたらいいですか」。千賀からは自分の状態を客観視するように教えられた。元来、研究熱心な大竹は球団支給のiPad(アイパッド)で映像を比較し、自分の感覚と照らし合わせた。体が突っ込んだ場合、球が浮いた場合、どうフォームを修正すればいいかを考え続けた。

大竹は積極的に質問するタイプではない。「千賀さんが普段から会話してくれて、(聞ける)雰囲気をつくってもらった」と感謝。昨年10月は西武とのCSファイナルで、「自分の投げたい投げ方ができなかった」とベンチで悔し涙を流したが、この日のうれし涙は成長の証でもあった。

防御率0点台でも開幕ローテーション6人でただひとり勝ち星がなく「球場の駐車場の位置を変えようかなとも思ったが変えなかった。打たれてないので」と自分を信じた。工藤監督もようやくの白星に「よかった」と笑った。これで防御率は0・72。尊敬する早大の先輩日本ハム有原は0・51とさらに上をいく。「3つ上の偉大な先輩に離されないように」と大竹に笑顔が戻った。【石橋隆雄】