工藤監督「最高」ケガ人続出も約5時間の総力戦制す

延長12回裏ソフトバンク1死満塁、中前にサヨナラとなる適時打を放ったデスパイネを笑顔で迎える工藤監督(撮影・梅根麻紀)

<ソフトバンク12-11楽天>◇3日◇ヤフオクドーム

首位ソフトバンクが、2位楽天との壮絶な打撃戦を12-11で制した。延長12回1死満塁からアルフレド・デスパイネ外野手(32)が中前へ適時打を放ち、今季3度目のサヨナラ勝ち。

中1日で先発した武田が8失点、投手陣が今季ワースト11失点も、打線が今季最多17安打で12点を奪った。4カード連続の勝ち越しで貯金を今季最多の6とした。

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最後は4番デスパイネが決めた。1死満塁から詰まりながらも中前へ運んだ。「落ちてくれと思って走っていたよ」。自身開幕戦以来となる今季2本目のサヨナラ打で、ナインにもみくちゃにされ、笑顔がはじけた。

前日2日は初回の1点しか奪えなかった。心配になったのか、試合前には王球団会長も今季30試合目で初めてグラウンドに姿を見せたほどだった。工藤監督は左脇腹痛が治ったグラシアルを予定より早く緊急昇格させ、即6番左翼で先発起用。左太ももに張りがある内川だけでなく、右手甲の打撲が悪化した上林もスタメンから外した。

4回までに楽天に4点差をつけられたが、デスパイネ、松田宣の2者連続弾などで1点差に追い上げると、6回にはグラシアルが「大振りせずミートを意識した」と、左翼テラス席へライナーで逆転となる2号3ラン。昇格即首脳陣の期待に応えた。8回に追いつかれ、10回には勝ち越されたが、1死三塁から代打内川が初球を右翼線へポトリと落とす同点適時打。「あそこで何とかしたい。内野の頭を越えればと思っていたが、初球からあんな打球になってしまって」と思い通りの打撃ではなかったが、12試合連続となる安打をここ一番の場面で放った。

4時間55分の熱戦にも、工藤監督は「勝ったので全然疲れていない。最高ですよ」と笑った。今季のスローガン「奪Sh!(ダッシュ)」のような足技も積極的に使った。初回、2回とエンドラン。延長12回も1死一塁からランエンドヒットを3度仕掛け、サヨナラのチャンスをつくった。盗塁も4つ決め、楽天バッテリーを揺さぶり続けた。

ヒーローのデスパイネは「グラシアルが戻ってきてうれしい。ケガ人が多い中、協力してチームを勝たせたい」と話した。若い力も引き出し、総力戦で勝った。この1勝は、工藤監督にとってもチームにとっても大きな1勝となった。【石橋隆雄】

▽ソフトバンク王球団会長(サヨナラ勝利を見届け)「今日の試合の勝ちは大きい。12-11か。すごい試合だったね。昨日(1-0の2日楽天戦)みたいなのも試合だし、今日みたいなのも試合」

 

▽ソフトバンク・グラシアル(左脇腹痛から復帰し、本塁打を含む2安打3打点)「勝てたことがうれしい。自分の結果も、チームに貢献できたのですごくうれしく思います。チーム状況はわかっていたので、なるべく早く帰って来られるようにと思っていた」