広島曽根V生還!浅い左飛で会心ギャンブルスタート

広島対巨人 8回裏広島1死一、三塁、西川の左犠飛でタッチアップする三塁走者曽根(中央)(撮影・山崎安昭)

<広島6-3巨人>◇3日◇マツダスタジアム

広島が勝負をかけたプレーに成功し、価値ある勝利をつかんだ。巨人戦は3点リードの7回に守備の乱れで追いつかれたが、8回1死一、三塁で5番西川龍馬内野手(24)の打球は浅いレフトフライ。三塁走者の曽根海成内野手(24)が“ギャンブル”スタートを切って生還した。負ければショックの大きな一戦を制して連勝。4位浮上と再び上昇モードに入る気配だ。

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会心のギャンブルスタートだった。3-3の8回裏1死一、三塁。広瀬三塁コーチが、三塁走者曽根にささやく。「少々浅くても行くぞ」。タッチアップの確認。思惑通りに、西川の浅い飛球が左翼に上がった。ボールが重信のグラブに収まった瞬間「行け」の声と同時に曽根が走った。好返球ならアウトかというタイミング。だが返球は大きく一塁側にそれ、勝ち越し点が入った。

お立ち台の曽根は興奮を隠さなかった。「広瀬コーチのおかげです。少々浅くてもかえれる自信はあった」。代走出場の前、気配を察してベンチをストレッチしていた。広瀬コーチは「(重信の)捕り方、体勢、(打球への)入り方、コントロール、曽根の足を考え、少々浅くても勝負しようと決めていた」と振り返った。ベンチと選手が一体となった、会心のタッチアップだった。

絶対に勝ち越さなければならなかった。3-0の7回。まさかの2失策がからみ、同点に追いつかれた。無死一塁から併殺を狙った名手菊池涼の二塁送球がわずかに浮く悪送球となり、一、二塁オールセーフ。粘りに粘っていた床田がこらえきれず、代打阿部に適時打を浴びた。さらに三塁安部が適時失策。丸の犠飛で同点に追いつかれ、床田の5勝目が吹き飛んだ。ミス連発を帳消しにするためには、何としても失った流れを引き戻す必要があった。

勝ち越しの後、安部が7回の失策を帳消しにする2ランで勝利を決定づけた。緒方監督は「7回(の失策は)いつもできているプレーができなかった」と話した。一方で「エラーした安部が打って意地を見せてくれたし、粘り強い攻撃で最後、点を取ることができた」と手応えも口にした。流れを引き戻した広島が連勝を引き寄せた。【村野森】

 

◆曽根海成(そね・かいせい)1995年(平7)4月24日生まれ、大阪府出身。京都国際から13年育成ドラフト3位でソフトバンク入団。17年3月に支配下へ昇格し、同年1軍戦初出場。18年7月に美間優槻内野手との交換トレードで広島移籍。代走や代打バントなどで存在感を示してきた。175センチ、68キロ。右投げ左打ち。