大商大2季ぶりV「全員で喜べば」監督胴上げせず

優勝した大商大は喜び爆発(撮影・柏原誠)

<関西6大学野球:大商大4-2神院大>◇2回戦◇5日◇わかさスタジアム京都

大商大が連勝し、2季ぶり18度目(旧リーグを含む)のリーグ優勝を決めた。残り1節で勝ち点では並ばれる可能性はあるが、8戦全勝で勝率1位が確定し、規定で1位が決まった。6月10日開幕の全日本大学選手権(神宮、東京ドーム)に出場する。

初回に5番の戸田航史内野手(3年=大商大高)の左前打で1点先制。3回には主将の笹治健汰外野手(4年=近江)が左越え2ランを放って優位に進めた。

6回、先発の花村凌投手(2年=神戸国際大付)がつかまった。2点を返されて1点差。なお2死三塁でエース大西広樹(4年=大商大高)が登板。見逃し三振に仕留めて切り抜けるとガッツポーズ。3-2の8回には戸田に貴重な左越えソロ。大西は9回、最後の打者を打ち取ると、おたけびを上げ、エースを中心にまたたく間に歓喜の輪にができ上がった。

大西は気迫満点だった。全力で腕を振り、アウトを奪うたびに感情を出した。「うれしい。戸田や笹治ら一番練習してきたやつらが結果を出した。花村もあそこまで頑張ってくれた。今日は気持ちをボールに乗せました。絶対ゼロに抑えるという気持ちだった」と興奮気味に振り返った。

昨秋は京産大に優勝をさらわれ「味わったことのない気持ち」(笹治)から新チームがスタート。優勝を逃した10月14日の悔しさを胸に刻み込んだ。正月休みの約1週間以外は事実上無休で練習してきた。大学球界では異例のことだ。ナインの間では「車の中だけがオフ」と認識する日々を過ごしている。笹治は「意識の高い選手が増えて、能力を発揮できる選手が多くなった」とチーム力の底上げを実感した。

合言葉は大商大初の日本一。富山陽一監督の方針で、いつものように今回も胴上げはなし。日本一なら-の問いに指揮官は「めっそうもない」とぼかした。前チームからは太田光捕手(楽天)滝野要外野手(中日)とプロ入り2人が抜けた。「私は全員が戦力だと思っている。あの子もこの子も使いたい。私は『層が厚い』といつも思っています。1人を胴上げするんじゃなくて、全員で喜べばいいんです」。目指してきた全員野球の結実を表す一言だった。