鈴木誠也1発に凝縮「楽」野球少年へ好きこそ物のー

広島対巨人 1回裏広島2死一塁、逆転の右越え2点本塁打を放ち、ファンの声援に応える鈴木(撮影・前田充)

<広島3-3巨人>◇5日◇マツダスタジアム

広島鈴木誠也外野手(24)の放った弾丸ライナーが、右中間席に飛び込んだ。

1回に飛びだした逆転2ランは通算100号のメモリアル弾。24歳8カ月での到達は、95年江藤智の25歳0カ月を超える球団最年少だ。「ホームランを打つためにやっているわけではない。ヒットの延長。何でこんなに打てるんだろうというのが正直な気持ち」。セ・リーグでは4万9996号。延長12回引き分け後、静かに語った。

こどもの日。全国の野球少年に贈る1発だった。少年野球への持論がある。「野球を楽しんでほしい。いろんなことを言われると思うけど、聞きすぎてうまくいかなくて、やめてしまうのが一番よくない」。自らは少年時代から、とにかく野球が好きだった。求められる技量や結果のレベルが上がっても同じ。「今でも練習は楽しいし、打席に立つのも楽しい」。5月5日はこれで20打数7安打の打率3割5分、5打点、2本塁打。15年にも巨人杉内から1発を放っている。

マツダスタジアムの電光掲示板には、スタメン発表や登場に合わせ選手紹介の映像が流される。シリアスな顔で決める他の選手と違い、鈴木は変顔ではじけまくる。決めポーズもコミカルで、スタンドの笑いを誘う。勝負にはストイックだが、そうでない時は楽しく。鈴木のスタイルが、そこに表れている。

野球人口の減少が懸念される中、100号は少年たちに向けた鈴木ならではのエール。野球って楽しいんだぜ! という思いがあふれていた。【村野森】