楽天銀次、極端なシフト見透かし匠の技でサヨナラ打

楽天対ソフトバンク 2戦連続のサヨナラ勝ちを飾り笑顔で声援に応える楽天銀次(撮影・足立雅史)

<楽天4-3ソフトバンク>◇9日◇楽天生命パーク

最後はキャプテンが決めた。楽天銀次内野手(31)が9回無死一、二塁からバスターで右前にサヨナラ打を放った。相手の極端なバントシフトを見透かし、自慢のバットコントロールでとっさに対応。7点差をひっくり返してサヨナラ勝ちした前日に続き、首位ソフトバンク相手に劇的な連勝を飾って、2・5ゲーム差に迫った。

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匠(たくみ)の技だった。9回無死一、二塁。打席に向かう直前、銀次は小谷野打撃コーチに耳打ちされていた。「前にチャージしてきたら、打っていいから」。ソフトバンクの一塁手内川が前に出てきた1球目のバントは、三塁線へのファウル。2球目はさらに内川が激しくチャージをかけ、内野全体が連動する三塁封殺シフトだった。「1球目よりも、一塁手が近くまで来ていた。2球目にシフトを敷いたのは、見えていました」。瞬時にバスターに切り替え、がら空きの一、二塁間を抜いた。

「球は速いですけど、シフトを敷くということは、ストライクを投げてくる確率が高いわけですから」。剛腕ルーキー甲斐野の149キロを狙って転がす高難度のミッションを完遂しても、チーム屈指のバットコントロールを誇る男は涼しい表情。前カードの西武戦で今季初めてスタメンを外れたが、平石監督は「銀次らしさはこのところずっと出ていた」と見ていた。前日からこの日の第1打席にかけて6打席連続安打をマーク。後ろを打つブラッシュの本塁打で3度ホームを踏み、打線をつないできた。

前日は島内、ウィーラー、銀次、ブラッシュと怒濤(どとう)の連打から最後はドラフト1位ルーキーの辰己が決めた。この日も島内とウィーラーがリプレーのような連打を見せ、銀次が仕留めた。「『つなぎ』がどれだけ大事か、あらためて感じた。これで勢いに乗っていけるんじゃないですか」。首位をたたいた主将の言葉に、はっきりと手応えがにじんだ。【亀山泰宏】