東京D酔い?阪神3戦3得点、菅野粉砕打線どこへ

広島に3連敗し、厳しい表情で引き揚げる阪神矢野監督(撮影・前田充)

<阪神1-5広島>◇19日◇甲子園

“東京ドーム酔い”で虎の猛打消滅!?阪神が広島に痛恨の3連戦3連敗を喫した。

19日はアドゥワに苦戦してゼロ行進。9回に1点を奪うのが精いっぱいだった。直前の15日巨人戦はエース菅野に4発11安打を浴びせ、プロ初の10失点で完全KO。東京ドームで合計5本塁打を見舞ったが、広い甲子園では一転して貧打に。3戦で3得点に終わった。広島戦4連敗で勝率5割に逆戻り。劇勝が台無しやんか…。

   ◇   ◇   ◇

4日前の鮮やかな菅野粉砕は何だったのか…。阪神が直前カードの巨人戦連勝の勢いを完全にそぐ、3連戦3連敗を喫した。15日には巨人のエースに4発を浴びせてプロ初の10失点でKOしていた。本拠地で猛打を再現するはずが打線は急降下…。この日はアドゥワを打ちあぐねて走者を出しても得点できない。打てそうで崩せず、満員甲子園はもどかしさだけが募った。

1、2回で3点を先行される劣勢も響いた。4回無死一塁。福留が微妙に沈む速球を引っ掛けて、3-6-3の併殺打。百戦錬磨のベテランでも苦戦する、つかみどころのなさ。矢野監督は首をひねる。「真っすぐが沈むというか、ツーシーム系を投げているのか、自然に沈むのか、俺には分からないけど…」。4月30日に攻略したアドゥワへ白星を献上してしまった。

また「東京ドーム病」の症状が出た。狭い敵地で猛攻撃した直後、広い甲子園で一転して貧打に陥るジンクスだ。15日は18安打13得点。アーチ5発を懸けた。指揮官も「こういう攻撃ができたのは、みんなの自信にしていい」と胸を張っていたが、目に見えない力みが出たのか、打線は空回り。17日広島戦で2得点後、この日の8回まで20イニング連続無得点の惨状だ。指揮官も言う。

「この前のジャイアンツに結構しっかりみんなが打ったなかで(その後は)こういう試合にもなりやすい部分もある。消極的になり過ぎている感じも俺はしない。もしかしたら気持ちが先行し過ぎているという部分もあるかもしれない」

歴史は繰り返す。昨年も8月26日に東京ドームで14安打9得点の逆転勝ちした後、同28日ヤクルト戦(甲子園)で6安打完封負け。悪夢の3連戦3連敗を喫していた。かつて、あるベテランは自らを戒めるように言ったものだ。「東京ドームで大勝した後の甲子園は要注意やね。気持ちいいから、フリー打撃でも、つい大振りしてしまう。低いライナーを、コンパクトに打つことやな」。東京ドームの快音に酔いすぎると、ひどい目に遭う。昨季苦戦した甲子園で5連敗。8勝13敗と借金5に増えた。【酒井俊作】