元巨人の加藤健氏、上原引退に「寂しい思いと感謝」

巨人対日本ハム 試合後、笑顔を見せる上原(左)と加藤健(2007年6月11日撮影)

巨人上原浩治投手(44)が現役を引退することを受け、元チームメートで98年ドラフトの同期入団の加藤健氏(38=BC新潟・球団社長補佐)が思いを語った。「突然でしたので、本当にビックリした。同期入団で、2人で食事に連れていってもらったり、何かある度に声を掛けてもらって、本当にお世話になりました。寂しい思いとともに感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。

思い出を聞かれ、06年6月11日のロッテ戦を挙げた。自身4年ぶりの1軍出場でスタメン出場し、上原とバッテリーを組んだ。8年目で「今年ダメなら、クビ」と覚悟する中、訪れたアピールの機会。重圧からガチガチだったが、試合前に上原から声を掛けられた。「好きなようにサインを出せよ。野球は甘いところに投げたら、打たれるもの。打たれたら、甘いところに投げたオレが悪い。甘いところに投げなかったら、打たれへん」

絶対的エースの言葉を聞き、スッと力が抜けた。「思い切ってやろうと。上原さんの言葉で、スムーズに試合に入れた」。その試合で8年目にして、プロ初安打を放った。16年シーズン限りで現役を引退したが、18年間のプロ人生の中で、ターニングポイントとなる試合だった。

加藤氏 普段は由伸さん(高橋)と冗談を言ってたりもしてましたが、試合前のスイッチが入った時の雰囲気はすごかった。オンとオフのメリハリがすごい方だった。

第一声の「寂しいです」の声はいつもと違った声のトーンだったが、上原への思いを語る声はいつもの“カトケン”だった。「あの日から、自分も上原さんのように、そういう声を掛けられるようにならないと、と思って、ずっとやっています」。加藤氏の胸には、今も上原の言葉が強く残っている。【久保賢吾】