青木2ミリ刈り鼓舞届かず12連敗「もう一押し…」

ヤクルト対広島 1回裏ヤクルト無死一塁、打席に入る青木(撮影・横山健太)

<ヤクルト7-8広島>◇28日◇神宮

気迫の丸刈り! 連敗を脱出するべく、ヤクルト青木宣親外野手(37)が長さ2ミリのクリクリ頭で神宮球場に登場し、周囲の度肝を抜いた。強い思いを体現したチームリーダーに引っ張られ、打線が奮起。4回に山田哲の12号ソロ、村上の13号2ラン、青木自身の2点適時打で一挙5点を奪い、広島と壮絶な打撃戦を展開した。しかしあと1歩及ばず、1点差負け。ついに連敗は12まで伸びた。

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神宮を覆う分厚い雨雲の隙間から、明るい空が見えた。9回、広島の守護神中崎から四死球3つで2死満塁。奥村は、空振り三振に倒れた。激闘の末の、あと1点。ベンチから祈るように見つめていた青木は「ここのところ、拮抗(きっこう)した試合が多くて、いい形にはなっている。もう一押しなんだけど」と吐露した。

気合がみなぎっていた。4-7で迎えた4回2死満塁、広島九里の外角低めフォークを拾ってしぶとく右前へ運び、2点を挙げた。前日27日のオフに、「小学生以来30年ぶりかも」という2ミリの丸刈り頭にチェンジ。「みんなと目が合わない。頭を見てるから、目線が上にいく」と苦笑いしながら、悪い流れを一新させたい思いがあった。ベテランの勝利への執念は、確実にチーム内へ波及した。

6点を追う4回は、先頭で山田哲が3試合連続の12号ソロ。さらに無死一塁、19歳村上が内角カットボールを捉え、チームトップの13号2ランを右翼席中段へ運んだ。18日DeNA戦(神宮)でバレンティンが放った2ラン以降の10発は、すべてソロ。8戦ぶりの2ランが、強力打線の復活を印象づけた。

8回には、四球を選んだ村上がベンチへ振り返ると「しゃあ!」と全身からほとばしる叫び声を上げた。呼応するように2死一、二塁で中村が左前打を放ち、1点差に迫った。

最大6点差から、追い上げての敗北。青木は、チームの状態について「上がってきているけど、勝たないといけない。とにかく今は、勝たないと。それだけ」。守備の際にも、ベンチは総立ち。身を乗り出して声を出し続けていた。近い未来の勝利を予感させる、惜敗だった。【保坂恭子】