広島大瀬良、祖母命日に対ヤクルト11連勝の新記録

ヤクルト対広島 ヤクルト戦11連勝を達成し、声援に応える広島大瀬良(撮影・横山健太)

<ヤクルト3-5広島>◇29日◇神宮

粘投で燕斬り。広島大瀬良大地投手(27)が7回3失点でリーグトップタイの5勝目を挙げた。ヤクルト戦はデビューから11連勝とし、球団新記録となった。2点リードの1回に村上に逆転3ランを浴びながら、ヤクルト打線が2巡目となった3回以降に修正。緩いカーブを巧みに使って、的を絞らせなかった。今季の成長を示す修正能力を発揮し、チームは球団月間最多記録の18勝目を手にした。

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剛から柔への変身で、試合の流れを再びたぐり寄せた。前回22日は力勝負で完投した大瀬良はこの日も、立ち上がりから力で押した。だが1回、連打からピンチを招くと村上の3ランで2点のリードをひっくり返された。積極打法のヤクルト打線に対し、2巡目となった3回からは緩急を使った。変わり身でヤクルト打線を惑わし、今季12度目の逆転勝利を呼び込んだ。

「初回に1発で点は取られてしまいましたが、その後アツ(会沢)さんがうまくリードしてくれて、緩急を使いながら打たせて取る投球が出来ました。あとは援護を信じて1人1人集中して投げられたことが良かったです」

2回まで4安打、球数は47球を要した。「思うようにコントロールできていなかったですし、良くないなと思いながら投げていた」。2回まで1球も使わなかった緩いカーブを3回以降は7回まで57球のうち10球投じた。

前回完投勝利した22日中日戦から、プレートの踏む位置を三塁側から中央に変えた。この日はこれまでの癖か、三塁寄りを踏んでしまう場面も見られたが、そこも試合の中で修正。3回以降は前回同様、プレートの中央から内外角へきっちり投げ分けられていた。

わずか数センチの変更が燕打線の芯を外した。5回表途中の約30分の中断も、立ち直った大瀬良には影響なかった。緒方監督も「中断がありながら7回まで投げきってくれた」と力投をたたえた。

デビューからヤクルト戦の連勝を球団新記録となる11連勝に伸ばした。前回対戦した15日は2点ビハインドで降板も打線が逆転して記録が継続しただけに「チームと伸ばした連勝だと思う。みんなに感謝したい」。チームは94年8月に記録した球団月間最多記録の18勝となった。大瀬良にも勝ちたい理由もあった。「大好きだったおばあちゃんの命日だったので」。球団記録とともに、リーグトップタイの5勝目を手向けた。【前原淳】