日本製紙石巻4強!斎藤侑馬、震災の町を野球の町に

TDK対日本製紙石巻 力投する日本製紙石巻・斎藤侑(撮影・野上伸悟)

<都市対抗野球2次予選東北大会>◇1日◇青森・はるか夢球場ほか◇準々決勝

日本製紙石巻(宮城)が投打の最年長コンビの活躍でTDK(秋田)との企業チーム対決を制し、準決勝に進んだ。チーム最古参の先発左腕・斎藤侑馬(30=武蔵大)が、6回8安打も要所を締め無失点。打っては家古谷(けごや)翔太(30=横浜商大)が先制適時打を含む2安打と気を吐いた。

◇  ◇  ◇  

日本製紙石巻の三十路(みそじ)コンビが投打でチームを引っ張った。先発の斎藤侑は最速132キロながら、絶妙にコースを投げ分け無四球。5回表1死満塁でも打たせてピンチを切り抜けた。「何とか粘って先発として最低限の仕事はできましたかね」とベテランらしく淡々と振り返った。

TDKのプロ注目右腕・小木田敦也(20=角館)には、家古谷が先制パンチを浴びせた。2回裏2死二塁と最初のチャンスをきっちりものにする左前適時打。「いい投手なので何とかつなごうと思っていた」。前田直樹監督(41)は「今日勝つのと勝たないのとでは大きすぎる差がある。斎藤侑はウチで一番信頼できる投手。家古谷も春先は調子が上がらなかったけど経験を買った。いい仕事をしてくれた」とたたえた。

選手で東日本大震災を知るのは斎藤侑だけになった。被災者への思い、そして地元の期待は誰よりも感じている。「勝つことで喜んでくれればという思いはずっとある」。そして「石巻は震災の町と言われるけど、いつか野球が強い町と言われるようにしたい」と希望を口にした。

斎藤侑には6歳の長男を筆頭に2男2女がいる。「野球をやっている姿が少しでも記憶に残ってくれればと思ってやっている。1年でも長くやりたい」。家古谷は昨年9月に第1子となる長女美羽ちゃんが誕生した。「家族が増えたので、その分も頑張ろうという気持ちはあります」と優しい表情をのぞかせた。2年ぶりの都市対抗出場へ、頼もしいベテランコンビがチームを支える。【野上伸悟】