広島勝てた試合…悔やまれる“大好きな前進守備”

西武対広島 12回裏西武無死満塁、中村剛也にサヨナラ安打を浴びがっくり肩を落とす広島菊池保(撮影・たえ見朱実)

<ザ・ピンポイント>

<日本生命セ・パ交流戦:西武5-4広島>◇4日◇メットライフドーム

昨年のセ・パのチャンピオンチームが交流戦の初戦で対戦。ここまでFA移籍した丸の穴を埋めている広島はセ・リーグ首位で、同じくFA移籍した浅村の穴を埋められない西武は4位。明暗を分けているが、強いはずの広島は“大好きな前進守備”にはまり、勝てるはずの試合を落とした。

延長12回裏無死満塁。前進守備の広島内野陣をあざ笑うかのように、中村の放った打球は三塁手の横を抜けた。同点の9回無死一、三塁では秋山を申告敬遠して満塁策。内野は前進守備を敷き、遊直でピンチをしのいだが、2度目の満塁策での前進守備で奇跡は起きなかった。

悔やまれるのは最初の前進守備で失った2回の3失点だった。失策も絡んで1点を失い、なおも1死二、三塁。打席は9番の金子侑。長打力もなく前進守備を取ったが、まだ序盤で焦る必要はなかった。結果的に打球は一、二塁間を抜けて適時打。定位置であれば、1点は失っても二ゴロで2アウト目を取れていた。

前進守備は大量点を失うリスクが伴う。続く秋山の打席は再び1死二、三塁となって前進守備。左前への2点適時打を許した。前進守備を取ると、二塁走者はけん制のリスクがなくなり、リードが大きく取れる。守っている外野手もホームで刺殺を狙えないため、前では守りにくくなる。精神的にも、1点をやらないつもりで2点を失うのはつらくダメージも大きい。

広島は強力打線で、西武は中継ぎ陣に不安がある。序盤でどっしりと「1点はやるよ」という余裕があれば、延長戦にもならなかった。【小島信行】