野村克也氏、資格回復へ夢語る「蔦2世になりたい」

「学生野球資格回復研修特例」の面接に出席した野村克也氏(撮影・中島郁夫)

野球殿堂入りしたプロ野球経験者に限る学生野球資格回復研修特例の面談が5日、都内で行われ、杉下茂氏(93)野村克也氏(83)堀内恒夫氏(71)福本豊氏(71)門田博光氏(71)の5人が受講した。

社会人野球のシダックスでも監督経験のある野村氏は独特の「ノムラ節」で心境を語った。近年はプロ出身の高校、大学指導者も増え、プロアマの垣根も低くなりつつあるが「サッカー、ボクシングとかはどうなの? もっと広い心で野球の貢献に発展してほしい」と、さらなる緩和へ持論を展開。もともと高校の監督へのあこがれは強い。「池田高の蔦監督がプロ出身でうらやましかった。蔦さん2世になりたい、というのは常々ある」と夢を口にしつつ「でも(高校野球の監督は)もう83歳だよ。今月で84歳になる。体力的に無理。夜は強いけど朝が弱い」と、ぼやいた。

ID野球を東大に注入したいかと聞かれ「弱いチームを強くするのが好き。ダメでもともと。勝てば評価が高まる。弱い球団がいいな。でも東大は夢のまた夢。(自分の)頭が良くないとダメだよ。野球脳がある? 東大の監督はできるわけないよ」と話した。

杉下氏は今年の春季キャンプでも中日の臨時コーチを務め、最高峰での指導を続けている。今後のアマチュアへの指導に「聞かれれば受けるけど、自分から行ってはないかな」と話した。堀内氏は「孫が高1。小さいころはキャッチボールはしていたが、孫のために」と家族への指導に意欲を見せた。福本氏は「ケガをさせないように、と言うが、ベースの踏み方1つでケガを防ぐことができる」と“世界の盗塁王”の技術を伝えることに前向き。門田氏は社会人野球の日本新薬で臨時コーチを務めた経験がある。「社会人は大人だが、高校生はこれから。これまではいい素質を持っていても離れなければならなかった。これからは近づいていける」と可能性が広がったことを実感した。

プロ野球出身者が「学生野球資格」を取得するためには、プロ側と学生側、それぞれが行う研修会を受講する必要があるが、野球殿堂入り顕彰者には研修会の受講が免除される。今回の面談を終え、今後アマ側へリポートを提出し、早ければ18日に日本学生野球協会から資格回復が認められ、指導することができる。