佛教大にドジョウ「2匹いた」監督驚きサヨナラ勝利

八戸学院大対佛教大 9回裏佛教大2死満塁、試合を決める中前適時打を放つ八木(撮影・大野祥一)

<全日本大学選手権:佛教大4-3八戸学院大◇10日◇1回戦◇東京ドーム

佛教大が大逆転のサヨナラ勝ちで9年ぶりの白星をつかんだ。

がけっぷちからひっくり返した。0-3の9回だ。安打と2四球で2死満塁とし、松本康平外野手(4年=塔南)の左前打でまず1点。

続く吉村颯捕手(4年=龍谷大平安)が押し出し四球を選び1点差。そして八木風磨外野手(3年=北稜)が甘い直球を中前にはじき返した。2人目の走者は頭から飛び込み、微妙なタイミングだったが球審は一瞬、判定を保留。捕手に対して「走塁妨害」を告げると、佛教大ナインが喜びを爆発させた。

松本も八木も途中出場。リーグ戦から似たような起用パターンで、終盤に出る選手たちは落ち着いていた。八木は「まだまだ逆転できるという雰囲気でした」と盛り上がるベンチの様子を明かした。

八木は50メートル5秒9の俊足と打撃技術が売り。左肘故障の影響で今はレギュラーから外れているが能力は高い。2死満塁からの殊勲打に「うれしかったです。サヨナラ安打は初めて。あんまり走者がいる場面は好きじゃないんですが、意識せずにいきました」と笑みを浮かべた。

1カ月前の京滋リーグ最終節。京都先端科学大との天王山初戦でも、0-3の9回に追いつく粘りを見せた。この時は延長で敗れたが、全国舞台で再び見せた追い上げに、田原完行監督(59)はベンチで「まさかな。ドジョウは2匹もいないよな」と半信半疑で見つめていたという。「2匹いてびっくりしました」と田原監督は豪快に笑った。「短い期間のトーナメントだから、勢いに乗って、プラスアルファの力でいきたいですね」と次戦を見据えた。

10年に大野雄大(中日)が東北福祉大を完封して以来、9年ぶりの白星。この時は2回戦で八戸学院大(当時は八戸大)に敗れていた。八戸学院大とは全日本選手権4度目の対戦で初勝利になった。