巨人炭谷の勝負勘際立つリード 古巣主砲山川を手玉

西武対巨人 西武に勝利し、中川(左)と笑顔でタッチを交わす巨人炭谷(撮影・鈴木みどり)

<西武4-9巨人>◇11日◇メットライフドーム

巨人炭谷銀仁朗捕手のいぶし銀の勝負勘が際立った。ホームベース後方の定位置で古巣西武の主砲を手玉に取った。1点リードの4回2死満塁、打席にはパ・リーグ本塁打キングの山川。投手田原に2ナッシングから注意深くコーナーに散らさせてフルカウント。勝負1球として要求したのは106キロカーブだった。豪快フルスイングで応戦した山川を空振り三振に斬り、打席でひっくり返らせた。

マスク越しに相手打者を洞察し、勝負の潮目と気配を読み解く。投手に示すシグナルには根拠と説得力がある。「カーブは一番遅い球。もちろん、怖いボールというのもある。1つデメリットはあるけど、メリットをみたらたくさんある」と年下が大半を占める投手陣に説いた。打者の目線を変え、直球を早く感じさせ、フライアウトを誘い、カウント球にもなる。ここぞの1球には培ってきた経験が詰まっている。

高卒1年目から過ごした古巣を飛び出し新たな挑戦を選んだ。新天地で正捕手の座を確立したとは言い難い。4回無死二、三塁、しぶとく中前にはじき返す、決勝の2点適時打をマーク。「本当は田口に勝ちをつけてあげたかった。相手の防御率、こっちの攻撃陣を見たら1点でも少なければチャンスがあると思っていた」と炭谷。勝負師の眼光が鋭く光った。【為田聡史】