大腸がんから再起した阪神原口文仁捕手(27)が日刊スポーツのインタビューに応じ、復活の道のりを激白した。
昨年末に衝撃の診断を受けたが、復帰戦となった4日のロッテ戦で感動の適時二塁打。9日の日本ハム戦ではサヨナラ打も放ち、矢野監督を男泣きさせた。大きな病気になって芽生えた思い、同じ病気で闘う人たちに届ける勇気、これからの目標…。背番号94が思いのたけを熱く語った。【取材・構成=磯綾乃】
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-今月9日の日本ハム戦で劇的なサヨナラヒット
サヨナラとかはイメージしていなかったんですけど、(緊張感ある)場面をイメージしながらやってきた。思った以上に普段通りというか、去年のシーズン中と変わらない状態で打席に立てていますし、本当にいい感じで出来ています。
-復帰戦の4日ロッテ戦でも適時二塁打。矢野監督から受け取ったボールは
家のリビングに飾ってあります。ボールをもらう機会って、初ヒットとかぐらいしかない。まさかもらえるとは思わなかったのでうれしかったですね。
-大腸がんの診断を受けた時は
ショックとかは、ちょっとまだすぐは出てこなかったですね。驚いたけど、がんか…、やばいな…、と。まさかですね。
-体調の異変は
(昨年の)シーズン中も感じていました。疲れが取れなかったり、眠気がずっと続いたり。どれだけ寝ても、ナイターでしっかり寝ても眠気が取れなかった。ずっとおかしいなと思いながら、やっていました。
-本やインターネットで病状は調べた
逆になるべく、もう見ないようにしていました。治ると思っていて、大丈夫だろうと。そんなに深く調べないようにしていました。
-前向きに考えられるようになったのは
改めて病気になってみていろいろ感じました。人生1度きりだし、遅かれ早かれ、いつか誰だって死は迎えるもの。だったら、もう人生楽しく過ごしたいなっていうのが、すごく強くなりましたね。今までは野球で結果を残さないといけないとか、そっちにとらわれていた。結果を残すために時間を注ぎ込んでやってきた。仕事なのでしんどい部分もあるのは当たり前。でも病気になってみて、そういうのも、より楽しくというか、苦しいことより楽しいことじゃないですけど。1回の人生を思い切り楽しみたいなって。またこうやって最高の野球ができる環境で、立場でいられているので、野球を楽しんでやりたいなって思いました。
-早い時期に発見
本当にいいタイミングで人間ドック受けに行って、命拾ってもらったな、と。ついてるな、原口、運がいいな、と。そういう気持ちでいっぱいです。
-野球が出来ない間はどう過ごしていた
キャンプ中はずっとタイガースのキャンプを見ていましたし、他球団のキャンプも今見られるので、見ながら「おー、こういうことやってんだな」って。「なんで広島がこんなに打てんのかなー?」とか考えながら見ていました。いいきっかけ、時間になりました。
-1日どれくらい観戦
ちょっと野球を見過ぎて、妻がかわいそうなぐらい(笑い)。申し訳なかったなと思いながら、結局はやっぱり野球を見ちゃうんですよね。試合をやってたら見ちゃうし、もう何個も掛け持ちしながら、ずっと見てましたね。
-開設したツイッターにたくさんのメッセージが
入院している時も見ました。タイガースファンもそうですけど、他球団のファンの方からメッセージが来て、すごくうれしいことで本当にありがたいです。同じ病気の方からもメッセージが来たり、ファンレターが届いたり。そういう方のためにも早く頑張りたいなと思った。僕と同じように若くしてがんになってしまった方から「手術します」とありましたね。「私も父が同じ大腸がんでした。全然元気なんで、大丈夫です」とか、メッセージをいただきました。
-今後の目標は
チームが優勝するためにもちろん結果を残していくことが一番。すぐにバンバン出て行くことは、難しいかもしれないですけど。出た時にしっかり結果を残して、チームの戦力になることで、レギュラーだったりも見えてくると思う。まずは与えてもらった場所で結果を残して、チームの勝ちに貢献していくということを目標に、今年最後までやります。頑張ります。