元祖はマダックス、17年から普及/ピッチトンネル

菅野の「消えるスライダー」の軌道

<潜入>

巨人菅野智之投手(29)が不動のエースに君臨する理由は、持ち球のスライダーに磨きをかけたためだ。独特の軌道で曲がると言われる菅野のスライダーを語るうえで浮上したのが「ピッチトンネル」なるワードだった。

メジャーでは、野球データ分析サイト「ベースボール・プロスペクタス」が17年初めにピッチトンネルの計測方法について詳細な解説論文を発表して以来、急速にその名称が普及した。概念自体は古くからあり、86~08年の現役時代に針の穴を通すコントロールで知られ14年に殿堂入りしたグレッグ・マダックス氏は「ピッチトンネルの祖」とも呼ばれる。最近ではインディアンスの投手がピッチトンネルを意識したトレーニングを行い、特に先発右腕トレバー・バウアーは、リリースポイントから20フィート(約6・1メートル)までどの球種も同じ軌道を描く練習プログラムに取り組んだことで知られる。バウアーが利用しているシアトルのトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」にはピッチトンネルをビジュアル化できる設備などがあり、他の多くの選手も利用している。