広島17日にも自力V消滅、20号誠也は打撃道追求

7回表広島2死、鈴木は左中間本塁打を放つ(撮影・鈴木正人)

<DeNA8-5広島>◇16日◇横浜

大台弾も空砲-。広島鈴木誠也外野手(24)が7回に一時同点のソロを放ち、4年連続20本塁打に到達した。後半戦は2試合連続打点と調子を上げているが、序盤に2度あった好機での凡退を悔やんだ。連勝を逃したチームは5位に後退し、17日にも自力Vが消滅する。重苦しい空気の中、主砲への期待ばかりが膨らむ。

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夜空を切り裂くような弾道で、節目の1発を放った。逆転を許した直後の7回。4番鈴木はDeNA3番手三嶋の甘いスライダーを強振した。左中間最深部に突き刺し、広島では09年の栗原以来となる4年連続20号となった。

ただ、喜びはつかの間で空砲に終わった。同点弾の直後、2番手レグナルトが3者連続四球から4失点を勝ち越され、連勝スタートを逃した。試合後の鈴木は厳しい表情のまま。「チームが負けてしまったので…」。大台到達も「どうでもいいです」と興味を示さなかった。

勝てないチーム状況だけでなく、自身への怒りもある。1回は1死一、二塁で一邪飛。4回は2死満塁で二ゴロに倒れた。好機で1本を打てず、試合中の本塁打談話でも「今日はチャンスで打ててなかったので…」と悔しさをにじませていた。

責任感の強い打者だ。昨季も先発が好投しながら援護できずに敗戦投手となると、翌日にわびたこともあった。この日は好機で2度凡退した後、同点弾を放ってベンチに戻ると、待ち受けたアドゥワの右ほおを優しくたたいた。

まだ24歳ながら、プロ入りから打撃道を追求してきた。鈴木自身に長距離砲の自覚はない。飛距離や本塁打数にはあまり興味を示さない。純粋に「H」という結果を求め、打撃成績ではチームの勝利につながる「打点」にこだわる。20本塁打以上を打ち続けた4シーズンで打順も、立場も変わった。大きく成長したのは技術面よりも、精神面かもしれない。

後半戦に入っても広島は波に乗れない。連勝は5連勝した6月2日を最後にない。手痛い逆転負けで5位転落となり、17日にも自力優勝が消滅する。重い空気の中、この2試合は先制打と豪華な1発。若き主砲の復調は数少ない希望の光だ。【前原淳】