「弟の方が打つじゃねぇか」日本ハム清宮兄の意地打

日本ハム対ロッテ お立ち台で「自撮り」する、左から日本ハム宇佐見、清宮、渡辺(撮影・黒川智章)

<日本ハム4-0ロッテ>◇20日◇札幌ドーム

やっと打った! 日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が33打席ぶり安打で、5連勝に貢献した。3点リードの4回2死一、二塁で中前適時打。出場14試合ぶりの一打で貴重な追加点を挙げた。チームは前半戦を首位ソフトバンクと7ゲーム差で折り返すも、後半戦に入り5連勝で猛追。眠っていた若き大砲が目覚め、打線をさらに上昇気流に乗せていく。

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清宮に笑顔が戻った。3点を先制し、なお2死一、二塁の4回。チームの勢いと、満員の観衆の後押しを受けて打席に立った。ロッテ佐々木の外角へのボール球、123キロのシンカーに体を泳がされながらも食らいついた。「打った瞬間、安打と分かった」としぶとく転がしての中前適時打。歓喜するベンチに「笑っちゃいました」と言いながらも控えめに右手を上げ、照れくさそうに喜んだ。

トンネルから抜け出した。出場14試合33打席ぶり安打。久々に上がったお立ち台では「本当は恥ずかしいですけど…。長かったなあ」。苦笑いを浮かべたが、必死に壁と向き合ってきた。ナイターでフル出場した前夜は、試合後にミラールームで矢野チーム統轄本部特命コーチとスイングを確認。球場を出たのは試合終了から約3時間たった、午後11時半過ぎだった。デーゲームのこの日も、午前9時前から金子打撃チーフ兼作戦担当、城石打撃コーチと早出特打。「いろいろ試行錯誤しながらやっていた」とうなずいた。

早実の弟、福太郎が高校野球西東京大会での公式戦デビュー戦で2安打2打点の活躍。周囲から「弟の方が打つじゃねぇか」とからかわれても、笑顔で受け流した。「しんどくないって言ったら、ウソですけど」と明かしながらも不振に立ち向かい、復調への兆しが見えてきた。

チームは後半戦に入って5連勝。首位ソフトバンクの背中も見えてきた。「ここから続けていかないといけない。1軍にいる身として、チームのためにも頑張りたい」。待望の一打をきっかけに、さらなる浮上を目指す。【田中彩友美】