DeNA石田463日ぶり先発白星…いつもと違う 

試合に勝利し笑顔を見せるDeNA石田(撮影・鈴木正人)

<DeNA4-3中日>◇20日◇横浜

午後6時のマウンドは、久しぶりだった。先発投手の名前がコールされると、横浜スタジアムから期待を込めた声援と、割れんばかりの拍手が送られた。DeNA石田健大投手(26)が、18年10月7日の広島戦以来の先発マウンドに上がった。「いつも以上にファンの声は聞こえた気がする。いつも以上に大きな声援の感じがした」。久しぶりの光景と空気をかみしめた。

今季ここまでの23試合は、全て中継ぎだった。3年連続開幕投手の候補でありながら、開幕前に左肘の違和感を発症。1軍復帰後の役割は本職の先発ではなく、リリーフだった。1週間に1度だったマウンドは、時に何日も続くことがあった。

試合開始からブルペンでゲームの行方を見つめ、中盤に向けて肩を作る。慣れない環境の中でも、常にチームのためを優先してきた。「(戻りたい)気持ちはもちろんあった。でも与えられた場所で全力でやるしかない」。ブルペンの現場を直に感じたから、分かることもあった。463日ぶりにつかんだ先発勝利は「いつもと違うものがある」と感慨深かった。

男は背中で見せる-。初回。この日最速150キロを3球もマークした。「いつ、つぶれてもいいと思っていた」と多くを語らず、ボールに魂を込めた。3点リードの5回には2死一、三塁とピンチを招いたが、代打藤井を最後はチェンジアップで空振り三振。思わず「よっしゃー」と声を上げ、グラブをたたいた。次回も先発として、27日の中日戦に登板する予定。佳境へ向かうペナントレース、頼もしい左腕が戻ってきた。【栗田尚樹】