<ルートインBCリーグ:新潟9-7群馬>◇28日◇三条パール金属スタジアム
新潟は群馬に9-7で逆転勝ちし、連勝を6に伸ばした。3-3で迎えた5回1死満塁に稲葉大樹二塁手兼野手コーチ(34)が、勝ち越しの左越え2点二塁打。この回一挙8点をもぎ取った。
07年のBCリーグ創設時から新潟でプレーするレジェンドは、8回にも二塁打を1本。これでリーグ通算898安打となり、900安打の大台にあと2本に迫った。
◇ ◇ ◇
二塁まで到達した稲葉が、両腕を突き上げた。3-3の1死満塁。カウント3ボール、2ストライクから勝ち越しの左越え2点二塁打が飛び出した。13日の栃木戦で前人未到のBCリーグ通算800試合を達成したレジェンドが貴重な場面で快打を放った。「気持ちが入った。感情が出てしまった」。ベテランが乗れば、チームも乗る。この回、一挙8得点を挙げて逆転。終盤に詰め寄られながらも、最後まで並ばれる場面は訪れなかった。
この日は二塁打を2本放ち、通算900安打まであと2本に迫った。「チームの勝利に結びつく安打を打っていけば、自動的に900安打にたどり着く」と記録には自然体で挑むつもりだ。BCリーグ創設と、チーム創設が重なる07年からプレーしているレジェンド。「ユニホームを脱ぐまで恩返し、恩返しと、自分に言い聞かせながら安打を重ねていきたい」と話した稲葉は「1200安打まで打つ気持ちでやりたい」と気迫が充実していた。
勝ち越しの2点二塁打は、ベテランの持ち味を色濃く表していた。打ったボールはフルカウントからの外角直球。左打席で逆らわずに打球を左翼後方に飛ばした。「狙い球は、直球1本に張っていた。フルカウントの方が逆に絞りやすい」と迷わず、バットを振った。8回2死の場面で放った左越え二塁打も、フルカウントから生まれたものだった。
午後1時1分プレーボールのゲームが終わったのは、5時間1分後の午後6時2分。1回終了時と3回表終了時に、グラウンド整備が行われ、ゲームは中断した。気持ちが何度も途切れる難かしいゲーム。しかし、稲葉はこう言った。「全員が集中していた。そこは良かったと思う」。最後は、コーチの視線になっていた。【涌井幹雄】
▽海老塚耕作投手(22)がゲームを締めた。8-7の8回1死から3番手投手として登板し、1回2/3を無無安打無失点で切り抜けた。「ボールが甘く入ると持っていかれる」と強打者がそろう群馬打線を直球とフォークで押した。「気持ちで投げた」という海老塚は「一戦も負けられないと思っている」と強気だった。