矢野監督「兼ね合いが…」ソラーテ起用が拙守温床に

ヤクルト対阪神 6回裏ヤクルト2死一、二塁、広岡の打球を後逸する糸原(撮影・横山健太)

<ヤクルト4-3阪神>◇6日◇神宮

東都の虎党からため息が漏れた。1点差まで追い上げた9回2死満塁。阪神糸原の放った飛球は右翼手雄平のミットに収まった。ゲームセット…。矢野燿大監督は「粘りは見せてくれて、いける雰囲気は作れた。決めきれなかったのは残念やけど」。あと1歩という追い上げを見せただけに、表情には悔しさがにじんだ。

課題である守備のほころびが、試合を劣勢にした。2点リードの5回2死三塁で2番青木が放った一、二塁間の強烈な打球を一塁手マルテが飛びついてキャッチ。一塁送球がそれてセーフとなった(記録は適時内野安打)。二塁手ソラーテが捕球していれば難なくアウトに思われたが…。これにはベンチもぼうぜんだ。

6回には先発ガルシアが中村に逆転2ランを浴びた後、2死一、二塁から1番広岡の何でもないゴロを遊撃手糸原がファンブル。痛恨のタイムリーエラーで差を広げられた。新助っ人ソラーテを二塁で起用することで、二塁を主戦場とする糸原が遊撃へ。打撃を優先すれば、守備力が低下する。新たな悩みが、生まれているのは確かだ。

矢野監督は顔をゆがめた。「ソラーテが来たことで俺自身も難しくなっている部分もある。本来セカンドを守るのがショートっていうのが簡単ではないけど。そこは俺の責任と(糸原)健斗自身がもちろん頑張らなアカンところ。(ソラーテの起用は)リスクを負いながら。そこは兼ね合いがちょっと難しい」。出場10試合で4本塁打を放つソラーテの攻撃力は捨てがたい。だが、12球団ワーストの87失策は頂けない。CS圏内である3位広島とは5・5ゲーム差に。フラストレーションのたまる夜になった。【桝井聡】