広島山口翔22日先発へ 公開説教、強制送還を糧に

1軍に再合流し、キャッチボールで調整する広島山口(撮影・前原淳)

必勝を期す。広島山口翔投手(20)が19日、1軍に合流した。マツダスタジアムで行われた先発投手の練習に参加。プロ初勝利を挙げた相手、22日ヤクルト戦の先発が予想される。だがその勝利以降、先発4試合で0勝2敗。その間、2度の2軍降格を味わった。1軍の怖さを知り、2軍でたくましさを増した右腕が1軍の舞台でやり返す機会をもらった。

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練習を終えた山口の表情は引き締まっていた。再びチャンスをもらえた喜びよりも、そのチャンスをつかむ決意の固さが感じられた。「(自分への)多少の期待はあるが、今度こそという気持ちが強い」。6月21日のオリックス戦では、緒方監督から公開説教されて初の選手登録抹消を味わい、7月9日は1回3失点で降板。試合中に宿舎へ強制送還となり、そのまま2軍降格となった。再び1軍で勝つ喜びを味わうために、1軍の舞台に帰ってきた。

7月の降格を機に原点に立ち返った。「もう1度打者に立ち向かっていく」。1軍で打たれる怖さを知り、知らぬ間に結果を求めた。「自分とばっかり勝負していた。フォームばかり気にしていた」と振り返る。細かな制球を気にするのではなく、高さかコースか-。シンプルに考え、腕を振ることを意識した。

登板間の調整もブルペン投球1回から2回に戻した。菊地原2軍投手コーチから「流れを変えてみよう」という助言を受け、シーズン序盤と同じように登板3日前と前日にブルペン投球を入れた。立ち上がりの課題克服のため、当日ブルペンでは実戦の1イニング目を意識。試合に入れば2イニング目の感覚で入るようにした。2軍で3連勝。ここ2試合は無失点投球を続け、1軍切符を勝ち取った。

22日に対戦予定のヤクルトにはプロ初先発の5月30日にプロ初勝利を挙げている。中継ぎ1試合を含め、8回無失点の好結果だったが「1軍での前回と前々回の悪いイメージがある」と表情は厳しい。3カード連続で負け越したチームは、大事なシーズン終盤に先発駒不足に陥っている。「考え過ぎず、これまでやってきたことを上で出したい」。巡ってきた登板機会は20歳にとって貴重な経験となるが、チームのことを考える余裕はない。マウンドで成長した姿を示し、力と希望を与える。【前原淳】

広島佐々岡投手コーチ(山口について)「ファームでしっかり結果を残してきた。チャンスをものにしてもらいたい」