M6辻監督「トゥース!」2人の春日訓示で伝統走塁

西武オリックス 5回裏西武1死一、三塁、一塁走者秋山が二塁狙いスタート切るも挟まれる間に三走る栗山が生還する(撮影・たえ見朱実)

<西武5-0オリックス>◇18日◇メットライフドーム

とにかく明るい山賊が、伝統の走塁芸で優勝マジックを6とした。

西武は1点リードの5回2死一、三塁、一塁走者をオトリに使って1点をもぎ取った。

試合前には不敗神話を持つお笑いコンビ・オードリーの春日が来場。お面をかぶったもう1人の春日も登場し、イケイケムードを充満させながらマジックを2つ減らした。

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“トゥース”トライクから、辻監督が勝負を仕掛けた。5回2死一、三塁。打者は2打席安打がなかった源田だった。4球目、一塁走者の秋山がスタートを切る。二塁送球を見届けると、三塁走者の栗山が好スタート。秋山がオトリになり、挟殺プレーの間に生還に成功した。同監督は「秋山が本当に絶妙なところで止まってくれた。ショートがタッチにいきたくなるような位置。栗山もいいスタートだった」。貴重な2点目となった。

僅差の展開だからこそ、伝統芸の繊細な走塁で奪いにいった。「いろんな条件がそろった」と辻監督。走者の顔ぶれ、試合の展開、残り8試合となったこの1戦が持つ意味。オリックス荒西を攻めあぐねている中、山賊の代名詞である豪快な攻撃ではなく、急激なアクセントをつけて主導権の1点をもぎ取った。「ダブルスチールのサインではない。(捕手が)投げたら、いきなさい。ギャンブル(スタート)じゃないからね。本当に絶妙なプレーだった」と冷静に任務を遂行した熟練の2人をたたえた。

試合には不敗神話を持つ男が来場していた。春日が来場した過去4戦、いずれも勝利。試合前にはその春日を横目に、お面をかぶった熊代扮(ふん)するもう1人の春日が、円陣で訓示。持ちネタを一通り披露した熊代は7回には代打でしっかりと犠打を決めて、打線をつなげた。何をやってもうまくいく明るい山賊。自在なタクトを振るっているのは、ほかならぬ指揮官だ。

ソフトバンクが敗れ、一気にマジックが2つ減って6になった。「快勝でした。本当に理想的な展開。うまく2点目も取れたし、理想的な試合だった」。確かな手応えを口にすると、最後は自ら「トゥース!」。ノリに乗って、優勝への合図を送った。【栗田成芳】