ソフトバンク逆転Vあきらめない バンデン復活0封

ソフトバンク対日本ハム 2勝目を挙げたリック・バンデンハーク(右)とお立ち台でおどけてみせる今宮健太(撮影・今浪浩三)

<ソフトバンク1-0日本ハム>◇20日◇ヤフオクドーム

ソフトバンク先発のリック・バンデンハーク投手(34)が、崖っぷちのチームを救った。右肘痛から3カ月ぶりの復帰マウンドで6回8奪三振、無失点の快投。1-0勝利を導いた。首位西武はサヨナラ勝ちで優勝マジックを4に減らし、2ゲーム差は縮まらなかったが、まだまだ逆転Vはあきらめない。

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バンデンハークは興奮気味に、真っ赤なグラブをパチンとたたいた。6回2死三塁、この日背負った最大のピンチ。日本ハム大田を外角低めへの152キロ直球で空振り三振に斬り、復帰先発の役目を終えた。「マウンドに戻ってこられて、なんとも言えない気持ち。自分にとっても、みんなにとってもタフなシーズン。ずっと戦ってきた仲間には脱帽の思いしかない。チームの一員になって、勝利に貢献できてうれしいよ」。救援陣も1点のリードを守り抜き、負けられない戦いでチームを勝利に導いた。

今季は腰痛で開幕メンバーを外れ、6月4日中日戦でようやく初登板初勝利。だがその後、右肘を痛めて再離脱となった。「1日1日、前向きにポジティブに。リハビリで居心地良く過ごしてしまえばダメになってしまう。練習時間より早く行って、やることをやったり。1日でも早く1軍に戻ろうと、奮い立たせながらやってきました」。つらい約3カ月のリハビリで自分を律し、勝負どころで救世主のように帰ってきた。感慨もひとしおの3カ月ぶりの2勝目だ。

現在、アナ夫人のおなかには第1子の命が宿っている。バンデンハークは「ムスコ」と日本語で、男児であることをうれしそうに明かした。出産予定日は日本シリーズまっただ中の10月下旬だ。大舞台での勇姿をまだ見ぬベビーに見せるためにも、最後まで腕を振り続けるつもりだ。

逆転優勝を目指す中で、先発投手の台所事情は苦しくなっている。19日のオリックス戦ではエース千賀が右膝に打球を受けて、今後の登板に影響が出る可能性も出てきた。そんなピンチでの助っ人復活を工藤監督も喜んだ。「期待していた以上の投球。彼が戻ると先発に厚みが増すのでうれしい」。バンデンハークはお立ち台で「ユウショウ、ガンバリマショウ」と言った。首位西武が勝ったため、2ゲーム差は変わらなかった。残り6試合。まだまだあきらめるつもりはない。【山本大地】

▽ソフトバンク王球団会長(1-0勝利に)「よかったね。しびれたよね。(先発の)バンディがよく投げた。今日みたいなしびれる試合もある。また明日ね」