頭ポカリから試合後、沢村泣かせた阿部の言葉とは…

日本シリーズの日本ハム戦で、サインを見逃した沢村の頭をたたいて活を入れる阿部(2012年10月28日)

<潜入>

巨人沢村拓一投手(31)が27日のDeNA戦に2番手で登板する。中大の先輩で尊敬する阿部とのバッテリー。12年10月28日の日本ハムとの日本シリーズではサインミスし、マウンドで頭をはたかれたが、その裏側にあった秘話に潜入。後日談とともに、阿部から受けた愛情を振り返った。

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8回無失点と好投し、日本シリーズ2連勝に沸く試合後「沢村ぁ」と叫ぶ阿部の大声が耳に響いた。選手が通常使用するロッカー室ではなく、スタッフが使用する第2ロッカー室に呼ばれた。「殴られるかも。でも、阿部さんなら殴られてもいい」と向かうと、熱い思いを明かされた。

阿部 ああいう大事な試合でサインミスなんか、ありえないだろ。どこの大学だ? お前には(内海)哲や(杉内)俊哉よりも高いものを求めている。だから、厳しくする。

涙がボロボロとほおを伝った。野球で泣いたのはプロ入り後初めてだった。頭をはたかれた瞬間は「ここでですか?」と思ったが、思いを聞き「愛があって、そんなふうに思ってくれてることがうれしかった」と阿部が部屋を去った後も1人で泣き続けた。

今月23日のヤクルト戦後、阿部がミーティングで引退を報告すると、あの日から7年我慢した涙があふれた。バッテリーを組むのが最後となる可能性もある27日のDeNA戦。「何も考えないで投げたいなと思いますけど、いろんなことを思っちゃうかもしれないです」と言った。

プロ1年目の11年4月21日、初勝利の夜に届いた祝福メールは保護され、年季が入った折りたたみ式の携帯電話に残る。「僕の唯一の保存メールです。消えたら嫌なので、なかなか替えられなくて。一生大事にします」。9年間の感謝の思いをマウンドから伝える。【久保賢吾】