帰ってきた広島赤松!3年ぶり1軍出場ファン大声援

広島対中日 9回、中堅の守備位置から笑顔で引き揚げる赤松。左は菊池涼(撮影・栗木一考)

<広島1-4中日>◇27日◇マツダスタジアム

広島赤松真人外野手(37)が引退試合のため3年ぶりに1軍ベンチ入りし、9回の守りから中堅に入った。

17年に胃がんの摘出手術を受けてから3シーズン目。守備機会はなかったが、ベンチに戻る際にナインに出迎えられ、大きな声援に包まれた。試合後のセレモニーでは言葉につまりながら、感謝の言葉を並べた。

赤松 25年ぶりに優勝した2016年、最高のシーズンを終えた年末に病気が見つかりました。最高の気持ちから一転、どん底に落とされました。そんな僕に勇気や元気を与えてくれたのは家族、チームメート、そして全国から送られてくる折り鶴や手紙などの応援でした。これからもカープ、そして、プロ野球の応援をよろしくお願いします。

悔いはない。試合前のミーティング。仲間たちに「僕は最後の試合ですけど、みんなには大事な試合です」と語りかけた。最後にいいところを見せたいが、CS進出をかけた真剣勝負に水を差したくない。そんな思いを伝えた。その分、始球式では最愛の家族との時間を楽しんだ。長男慶馬くんが投手。次男郁馬くんが打席に入り、赤松が捕手。寛子夫人が見守る中、ワンバウンドを捕り損ねて苦笑いした。

仲間たちの手で5度、宙を舞った。心残りがあるとすれば、応援してくれた人に1軍で活躍する姿を見せられなかったこと。「恩を返せたとは思っていないし、何らかの形で返していきたい」。今後は未定。壮絶な現役生活にピリオドを打ち、新たなステージに踏み出す。【村野森】

○…引退セレモニーに臨んだ赤松に、菊池涼が花束を渡した。涙でぬれた顔を赤松の肩に埋め「お疲れさまでした」と声をかけた。闘病中はロッカールームから病室に何度も電話をかけ、明るい笑顔で励ましてきた。「ありがとう」と応じた赤松は「お互いにくさいことはあまり言わない。2人でご飯を食べながら言いたい」と感謝した。

◆赤松真人(あかまつ・まさと)1982年(昭57)9月6日生まれ、京都府出身。平安(現龍谷大平安)から立命大を経て04年ドラフト6巡目で阪神入団。07年オフにFA移籍した新井貴浩の人的補償で広島へ。10年にゴールデングラブ賞を受賞。182センチ、70キロ。右投げ右打ち