小笠原道大ヘッド「浦島太郎。懐かしい」一問一答

就任会見に臨む日本ハム小笠原ヘッド兼打撃コーチ(撮影・佐藤翔太)

ガッツが日本ハムを生まれ変わらせる。小笠原道大ヘッドコーチ兼打撃コーチ(45)が10日、栗山英樹監督(58)とともに札幌市内のホテルで就任会見に臨んだ。

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日本ハム小笠原ヘッドコーチ兼打撃コーチ 就任会見の一問一答

-会見冒頭

え~小笠原です。「ただいま!」で、よろしいでしょうか?(右隣で栗山監督が「お帰りなさい」)。14年ぶりということで、だいぶチーム内が変わっていると思うので、また1から、0からのスタートと思って、やっていきたいと思います。また、監督から言われた通り、自分が今まで経験してきたこと、勉強してきたことを、何とか北海道に恩返ししたいなという思いで、今日この場に座っております。なんとか、微力ですけど、ファイターズの力になれるように頑張りますので、これからよろしくお願いします。

-14年ぶりに北海道へ帰ってきた今の心境は

昨日、飛行機が降りて、タクシーに乗って(景色を)眺めていると、非常に懐かしい思いに浸りながら、このホテルまで入ってきました。なんかこう、浦島太郎のような。14年ぶりなので、本当に時代の流れも早い。懐かしいものもある。また、新しいものもある。不思議な感覚で、昨日から過ごしてきました。

-特に思い出したことはあるか

やっぱり、北海道の1つの良さである大自然を眺めながら移動していく中で、沸々と、炎というか、この火が大きくなっていくものを心の中で、胸の中で、実感しながら来ました。タクシーから街中を見ていると、すごく懐かしい景色ばかり。また、ここで野球ができるんだという、うれしさ。すごい気持ちが、高ぶっている段階です。

-タクシーの運転手は驚いていなかったか

いや、どうでしょう。そこら辺は、聞いていない。なんか、微妙な空気は流れていました(笑い)。

-栗山監督からの要望は

もう本当に、思い切りやってくれ、と。今までやってきた、経験してきたことを、本気でぶつけてくれればいい。あとは「バックアップしてくれる」という、すごく心強い言葉を頂きましたので、なんとか精いっぱいやっていきたいと思っています。

-ヘッドコーチとしての意気込みは

ヘッドコーチ自体が初めての経験ですから。どういう仕事をするのかも、まだ把握しきれていない部分もありますので、そこら辺をまず勉強しつつ、しっかりと監督とコミュニケーションを取り、みんなが同じ方向を向いて、1つに気持ちをして、1試合1試合戦えるようにしていきたい。細かいことは、これから少しずつ話を詰めていって、来年の(春季)キャンプをスタートする時に、ある程度、形が出てくるのではないかなと今は思っています。

-打撃コーチとして、気になる選手はいるか

全員、気になります。まだ見ていない選手、名前だけしか知らない選手、名前もちょっと頭の中にまだ入っていない選手もたくさんいる。まずは全員、横一線とはいかないですけども、それに近い状態、クリーンな状態で全選手を見てから、いろいろ選手個人個人を判断して、いろんなアプローチをしていきたいなと思います。

-ご家族の反応は

喜んでいましたね。まずは、またユニホームを着られるんだという、シンプルな感覚で喜んでくれました。また、そこが北海道で、ファイターズで、また野球をする。本当に大喜び。両手を挙げてという感じで喜んでくれたので、本当によかったかなと思います。

-日本ハムファンへのメッセージ

2006年のオフから全員に…全員というのは難しいんですけど、はっきりとした言葉で伝えられずに、この地を離れてから14年がたちます。なかなか、全員みなさんが受け入れてくれるか、不安な部分もありますが、そういうことも全部受け止めて、しっかりと、北海道、ファイターズ、前を向いて、しっかりと進んでいけるように、少しでも自分の持っている力を最大限発揮して、何とか貢献できるように頑張っていきたいと思います。

-今季はリーグワーストのチーム本塁打数(93本)だった。長打力不足解消への打開策は

数字だけで判断できるものではないですから。監督としっかり話して、選手個人個人の特長を教えていただき、しっかり自分の目でも見て、そこから精査していって、継続するものは継続していく。また、新しいものは新しく変えていく。選手の良さをしっかりと発揮できるようにサポートしていきたいと思っている。いかんせん、さっきも言ったように、ほぼ見ていませんので、まず見ることから始めて、しっかりとそこから選手1人1人を自分で勉強していって、まずはコミュニケーションを取って、うまく進めていけたらなと思っています。

-いつから始動予定か

秋季キャンプ、できればそこから指導していきたい。本当は、もう明日から、見たい気もするんですけど、なかなかスケジュールも難しいので。正式には、月末の沖縄(国頭)からになると思います。

-指導者としての哲学、指針はありますか

まだ、4年しかやっていませんので、そういう確固たるものは勉強中の身であります。ただ、中途半端だけは、したくないなと。まず、とことんやる、という思いでいます。また、きれいにやるのではなく、泥臭く、その一瞬一瞬を全力で、みんなでやっていきたいなという思いではいます。-日本ハムからオファーがあった時の気持ちは

正直、うれしかったですね。それだけ評価していただいたというのと、育ててもらった、最初に入ったチームに戻れるという思いと、そういうものが混じった、うれしさでしたね。

-今の日本ハムのイメージは

14年たっているのでね。大幅に変わっている部分がある。逆に言うと、先入観なしで、シンプルに目の前のものを見て判断できると思う。あらゆるものが足りないから、今年の順位だと思います。かといって、全てが足りなかったわけではなくて、よかった部分もたくさんあったわけですから、いろんなことを洗い出して、それから整理をして進めていくという順序になると思う。まずは見ることから始めていくと思う。

-同じ左の長距離砲である清宮選手のイメージ、評価は

ずっと見ていたわけじゃないので判断できないんですけど、彼も持っているものがありますから、しっかりと長所を伸ばしつつ、なおかつ、補わなくてはいけない部分がたくさんありますから。1つだけやっていればいいということではないと思う。それだったら、1軍にはいられませんから。全てにおいて、レベルアップしてもらいたいと思います。

-具体的にレベルアップしてもらいたいところは

いや、全てにおいて野球を勉強してもらわないといけないかなと思っています。野球を知らないとかではなくて、しっかりと戦っていく中で、いろんな知識をもっともっと増やしてもらいたい。そして、それを自分で体現できる。頭の中で終わるのではなくて体で、プレーで常に体現できるように。1年と言わず、毎年やり続けて、なおかつレベルアップしていってほしいので、まずは体の強さが必要かなと思いますけどね。それは、彼に限らず、若い子には必要。基礎ですよね、基礎体力。いろんな強さが必要。もう1度、見つめ直してやっていくのがいいと思います。

-選手に徹底させたいことは

最低限、できることはやろうと。できないことは無理にできない。まずは、誰にでも、できることは続けていこう、と。

-最近のパ・リーグの野球のイメージは

両方あるんじゃないですか。細かい野球もやっていますし、2点、3点と取りにいく豪快というか思い切ったものも、垣間見れます。打つだけではなく、スピードも各チームあります。なおかつ、守備、守り、ディフェンスの部分でもしっかりしているチームが上位にいっていると思いますので、そういうことも含めてバランス良く、底上げしていかないといけないかなと思っています。

-監督は「小笠原道大」という打者を作ってほしいと言っていた

無理です(笑い)。自分は自分なので、同じバッターは、なかなかできないですから。まずは彼らの良さというものがあるので、そういうものを伸ばしてあげたい。そういう中で幅を広げてあげたい。オリジナリティーが選手には非常に大事な部分ですから。二番煎じではなくて、1人1人の選手の良さを伸ばすことをやっていきたい。そうやって監督が言われるのは、うれしいこと。期待してもらっていることなので、そういう気持ちには、しっかりと100%以上のもので応えていきたい。気持ち以上なものを結果として出していかなくてはいけないと今、すごくプレッシャーを感じております。

-基礎体力を上げるために練習量も上げる?

と、思います。ケガをする可能性も出てきますけど、やっぱりそのくらいやっていかないと。その中で残っていく強い人間が、1年間戦える。その中で最高のパフォーマンスを出していかなくてはいけない。最低限1年間、しっかりと思ったようなスイングであったり、守備でも足の運びであるとか、そういうことが最低限できないと、その先に進めない。まずはその最低限はやってもらおうと思います。ピッチャーも野手も含めて。

-秋季キャンプから練習量アップを考えているか

ただ、まだ見習い期間だと思っていますので、11月は。(秋季キャンプは)期間も短いですから、2月に向けての予行練習みたいな感じで捉えてもらえたら。いきなり、100ではいけませんから。1割…1割も満たないくらいでできたらいいかなと思っています。

-現在のチームで06年当時のチームメートは鶴岡バッテリーコーチ兼捕手だけ

だからこそ、新鮮であって。プレーヤーであれば、大田君がジャイアンツで一緒にやっているんですけど、そのくらいなので。逆に言うと、いいのかなと。知ってしまうと、いろんな空気感、距離とかありますから。知らない方が、かえっていいのかなと。クリーンな気持ちで臨めるのかなと。

-浦島太郎と表現するほど、チームは変わった

新しい風を入れるには、自分が必要なピースだと思っている。なんとか、それが、明るい風になるように。常に風が吹くようにね。いい風が吹くように。常に追い風で。中には逆風もあるけど、それも強さ、成長するための1つの糧に、プラスに捉えてやっていきたい。

-栗山監督の印象は

頭のいい方だと思います。なおかつ、我慢強い方だなと。ただ、1人じゃ限界もあるでしょうから。分身まではいかないですけど、監督が見られないところをなんとか見て、サポートしていけたらと思います。いかんせん、目は2つしかないですからね。3つめ、4つめの目になれるように、やっていきたいと思います。