巨人岡本セCS最年少の23歳MVP 菅野抜いた

セ・リーグCSのMVP

<セCSファイナルステージ:巨人4-1阪神>◇第4戦◇13日◇東京ドーム

最強のビッグベイビーが日本シリーズに乗り込む。巨人岡本和真内野手(23)が、阪神とのCSファイナルステージ第4戦で豪快な同点ソロを放った。5回に阪神西から今CS3号となる値千金弾。4試合で3発含む7打点の大暴れで、CSのリーグ最年少MVPを獲得した。同点の6回2死三塁には丸佳浩外野手(30)が衝撃のセーフティーバントで決勝点を奪い、阪神を4勝(アドバンテージの1勝含む)1敗で退けた。7年ぶりの日本一へ6年ぶりの挑戦権を得た。

      ◇       ◇

岡本が、恥ずかしそうに背中を丸めた。試合後のセレモニーでMVPに選出された若き主砲はボードを遠慮がちに掲げると、すぐにチームメートの列に戻った。「ああいうのは初めてなので、恥ずかしかった。どうしていいかわからなかったです」。あまりの淡泊さに原監督からツッコミが入り、余計に照れて体が小さくなった。

“5年越し”の栄誉だった。1年目の15年12月、台湾のウインターリーグに参戦した。打点、安打数、塁打数でトップに立ち、MVP最有力候補で決勝戦を迎えたが、チームは敗戦。自身も4打数無安打でMVPも逃した。「覚えてます。あの時の分もぶつけますよ」と試合に臨んでいた。1安打に終わった昨季のCSの雪辱とともに、ルーキー時代の苦い思い出とも決別した。

同じ轍(てつ)は踏まない。今季は堂々と4番を張った。1点を追う5回無死。阪神西の初球、スライダーをバックスクリーンへ放り込んだ。沈黙していた打線を1発で目覚めさせ、逆転勝利へと導いた。全4試合で安打、打点をマークし、打率、本塁打、打点でチーム3冠の大活躍。ビッグベイビーと命名した指揮官も「非常に頼もしく、少し大人になったような気がします。乳歯が抜けたってとこだね」と成長を認めた。

赤パンで験担ぎした矢野監督に対し、黒の“スラパン”で勝負に出た。シーズン後半戦から着用し、練習用は股の下が破れてポロリ寸前? 試合用は左膝周辺がボロボロだが「まだ使えるし、いい感じなんで」とCSでも愛用。前半戦の不振から復調、さらに好調へと好転させた吉兆のスライディングパンツをユニホームの下に忍ばせ、躍動した。「日本一に向けて、何とかチームのために貢献したいです」。自身初の日本シリーズ、乳歯が抜けたビッグベイビーに牙が生えた。【久保賢吾】

▼23歳の岡本がファイナルSで打率5割3分3厘、3本塁打の活躍でMVP。CSファイナルSの最年少MVPは07年ダルビッシュ(日本ハム)の21歳だが、セ・リーグでは13年菅野(巨人)の24歳を抜く最年少。野手でも両リーグを通じて最年少MVPとなった。

▼岡本が5回の同点本塁打で第1戦から4試合連続打点。プレーオフ、CSの連続試合打点は17年内川(ソフトバンク)の5試合が最長だが、セ・リーグでは08年1S第1戦~2S第1戦ウッズ(中日)09年1S第1戦~2S第1戦和田(中日)18年1S第2戦~ファイナルS第3戦マギー(巨人)に次いで4人目のタイ記録。同一ステージで4試合連続打点はセ・リーグ初。