ヤクルト村上の兄、東海大・村上友幸が決勝で先発

東海大の村上友幸投手はヤクルト村上の兄(撮影・金子真仁)

<関東地区大学野球選手権大会:城西国際大5-3東海大>◇決勝◇1日◇横浜

ヤクルト村上宗隆内野手(19)の兄、東海大・村上友幸投手(4年=東海大熊本星翔)が決勝で先発マウンドを任された。

188センチの弟よりも大きな193センチの長身右腕が、ハマスタのマウンドに上がった。スリークオーター気味から140キロ前後の直球とスライダー、チェンジアップを投げ分ける。「ドキドキでした」と話しながらも、3回までは1安打無失点と順調だった。

安藤強監督(55)から、前夜に先発を伝えられた。「ビックリしました」。弟にも伝えると「頑張って」と激励のLINEが届いた。大型右腕と期待されて入学も、1年冬に右ひじ靱帯(じんたい)の手術をした。その後も「とにかくコントロールが全くダメで。四球、四球、タイムリーみたいな」と、思うような投球ができない大学生活だった。

層の厚い東海大投手陣の中で、ベンチ入りさえままならない。「でも、少しずつ良くなってきたんです」。努力は実り、この秋のリーグ戦最終戦でいきなり大学初のベンチ入りを果たし、しかも先発マウンド。4イニングを投げた。

この日も4イニング目のマウンドへ。先頭を切るものの、連打を許した。「あそこまでは力感も良かったのに。あれで気持ちが前に出すぎてしまいました」。連続四死球に適時打。2点を失い、4回途中でマウンドを譲った。

弟は今季36本塁打と大ブレークした。「もともと、やっちゃう男なので。小学6年生の時に、中学2年生からヒット打っちゃうようなやつですから」。活躍は予感していたし、うれしい。「ずぶとい男ですし、プロに行ってから考え方がポジティブになったと思います。話していても、いつもポジティブ」と少し誇らしげだ。

かたや、思うようにいかなかった大学4年間。15日開幕の明治神宮大会でもベンチ入りも「どうなんでしょうか。今日の先発もかなりのサプライズでしたからね」と、確信を持てずにいる。「監督、先輩、同級生…。本当に周りの人たちにお世話になったなと思います」。感謝の思いを忘れずに、卒業後は社会人野球にも挑戦する。

「また頑張って、この横浜スタジアムでもう1回投げたいなって、そう思いました」。球界を代表する打者になっていきそうな弟を心の底から応援しながら、自分の道もしっかり歩む。【金子真仁】