日本ハム3選手が上達法お教えします/プロに聞く

「どんな距離でも良いフォームで投げよう」とアドバイスを送ってくれた黒羽根捕手

<週中ベースボール>

日本ハムの選手が、ジュニア選手に向けて、野球が上達する方法を教えてくれました。14年にセ・リーグ最高の盗塁阻止率を記録した黒羽根利規捕手(32)は、肩が強くなる練習方法を紹介。チームきっての元気者、杉谷拳士内野手(28)は、早朝トレーニングを幼少期の日課とし、モチベーションを上げていました。谷口雄也外野手(27)が打ち込んでいたのは、野球のボールではなくバドミントンの羽根。狭い場所でも工夫し、急な変化にも対応できるようになりました。

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<黒羽根利規捕手>

小学2年くらいで野球を始めたという黒羽根捕手は小さい頃、こんな練習をしていました。

「毎日、壁当てをしていました。学校が終わって、家に帰ってきたらすぐにランドセルを置いて、ボールとグラブだけを持って外へ。壁に向かって球を投げて、跳ね返ってくる球を捕球する練習を、1時間くらい繰り返したことを覚えています」

強肩の黒羽根捕手が、肩が強くなるためのワンポイントアドバイスをしてくれました。

「僕が幼少期に大切にしていたのは、ボールを強く遠くへ投げること。これはとても大切です」

小学生の場合、遠投のように離れた距離を投げる際には、ボールを相手に届かせようと、やみくもに力を入れて投げる姿が目につきます。でも、黒羽根捕手は、どんな距離であろうと、短いキャッチボールと同じようなフォームを意識して投げていたといいます。

「遠くに強く投げるということは、地肩がついてくることにつながる。良いフォームで投げることができないと、遠くに投げることはできないので、普段から意識してみましょう」

◆黒羽根利規(くろばね・としき)1987年(昭62)6月2日、神奈川県生まれ。日大藤沢から05年高校生ドラフト3巡目で横浜(現DeNA)入団。08年に1軍デビューを果たすと主力捕手として活躍。14年には自身最多の109試合に出場し、盗塁阻止率3割9分5厘はリーグ1位。17年7月、エスコバーとの交換トレードで日本ハムへ移籍。プロ通算361試合で6本塁打、50打点、打率2割1分4厘。今季推定年俸1700万円。179センチ、90キロ。右投げ右打ち。

<杉谷拳士内野手>

日本ハムの元気印として知られる杉谷内野手は、幼少期から早朝トレを行っていました。「毎朝同じ時間に起きて、毎日外に走りに行っていました。朝が早かったので夜9時には寝ていましたね」。朝のランニングは日常的な習慣になっていたといいます。

杉谷内野手の朝トレを聞きつけた周りの友達と「朝練習」をしていたといいます。「毎日、朝5時半に起きて6時前くらいから走った後に、たまに広場に集まって、早朝サッカーや野球をしていましたね」。プロ野球選手になった今でも朝早く起きてランニングする姿が印象的です。「朝早くから活動することで『今日も1日やるぞ』という決心のようなものも出てくると思うので、ぜひ取り入れてみてください」。

東京都出身の杉谷内野手は少年時代、頻繁にプロ野球の観戦に行きました。「イチローさんと(新人の)松坂さんが対戦した試合を見に行きました。学校が終わってから急いで電車に乗って、イチローさんが3三振したのはすごく覚えています」と、印象深いシーンを教えてくれました。

プロ野球選手へと夢をかなえた杉谷内野手は当時、試合本番だけでなく、試合前に練習する選手をよく見ていたといいます。「例えばシートノック。子どもの頃、試合前のシートノックが見たくて早く球場に行ってました。そこで、プロ野球選手のすごさ、レベルの高さを実感できると思いますし、勉強になりますので、ぜひ注目して見てください」。

◆杉谷拳士(すぎや・けんし)1991年(平3)2月4日、東京都生まれ。帝京では春夏3度甲子園に出場し、3年時は主将。08年ドラフト6位で日本ハム入団。11年から内外野を守れるユーティリティー選手として1軍定着。19年5月23日楽天戦ではプロ野球19人目となる左右両打席本塁打をマーク。同年10月にはFA権を行使せず、残留を宣言。プロ通算584試合で12本塁打、81打点、打率2割2分2厘。今季推定年俸2600万円。173センチ、78キロ。右投げ両打ち。

<谷口雄也外野手>

谷口外野手が野球を始めたのは小学1年生のとき。バットを使って打ち込んでいたのは、ボールではなく…。「3つ上の兄がいたので、学校から帰ってきたら2人でバドミントンの羽根を使って、打撃練習をしていました。どれだけ打っても、あまり散らばることがないので、思い切り振ることができましたね」。家の近くの公園で、暗くなるまでバットを振り込んでいました。

その時々で変化する羽根の動きを野球ボールに見立て、イメージしながら練習していたといいます。「羽根は(直球のように)ピュッと速く来る時もあれば、(変化球のように)微妙に動く時もある。そういうのをイメージしたことで、振る力がつけられたのかなと思います。狭い場所でもできる練習だと思うので、ぜひ実践してみてください」。

◆谷口雄也(たにぐち・ゆうや)1992年(平4)6月1日、三重県生まれ。愛工大名電では高校通算44本塁打。10年ドラフト5位で日本ハム入団。12年9月4日楽天戦でプロ初出場。17年の春季キャンプで右膝前十字靱帯(じんたい)を損傷し、同年は1、2軍戦ともに出場なし。18年9月に1軍復帰。オフには背番号を64から4に変更した。プロ通算257試合で7本塁打、41打点、打率2割4分3厘。今季推定年俸1300万円。182センチ、91キロ。右投げ左打ち。