柳田以上の超人!ドラ1候補近大・佐藤輝明の素顔

来秋のドラフト1位候補、近大の佐藤

<アマ野球リポート>

阪神などが20年ドラフト1位候補に挙げる近大・佐藤輝明内野手(3年=仁川学院)が今季の関西学生野球リーグで、大学通算本塁打を11本に伸ばした。187センチ、92キロと大柄だが、50メートル6秒の俊足も誇る。日刊スポーツは「アマ野球リポート」と題し、近大OBの阪神糸井やソフトバンク柳田のような桁外れの飛距離とスイングスピードを誇る“超人”を直撃し、素顔に迫りました。【取材・構成=石橋隆雄】

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パチン! 快音を残した打球は、強烈なライナーで左中間を深々と破った。12月8日に行われた紅白戦で、佐藤は外角直球を逆らわず反対方向へ適時二塁打を放った。右打者が引っ張ったような打球にも「重心が残りすぎですね。もっと前にいかないと」と納得していなかった。

3年間でリーグ戦通算11本塁打。フリー打撃では右中間のフェンスを越え、グラウンド下にある民家へ打球が飛び込むこともある。人に当たる危険性があるため、2月から佐藤だけは、さらに山側に少し上がったもうひとつの球場で打撃練習を行うことになった。

「野球の中で本塁打を打つことが一番楽しい。ある程度しっかりとらえないと入らないし。打った時の気持ちよさもベースを回るのも全部ですね」。本塁打を打つことに喜びを感じる。「フライボール革命を試したこともあったけど、今はライナーで打つことを意識しています。バックスピンをかけて上がりすぎずに」。高校は甲子園出場がない仁川学院(兵庫)に入った。「家から近かったので。サッカーをやろうか迷っていたけど、中学まで野球をやっていたので。軟式から硬式に変わって、打球がさらに飛ぶようになって面白かった」。このころから、飛距離を求めて筋肉トレーニングを始めた。

「筋肉がつきやすいというのはあるかもしれません」。柔道86キロ級の選手で現在は関学大の准教授を務める父博信さん(52)の血を受け継いでいる。187センチ、92キロでも快足が武器だ。「デカくても動けたら、より魅力的ですから」。筋肉を速く動かせるトレーニングも続けている。

来年のドラフト1位候補として阪神などが高く評価している。「うれしいしありがたい。ドラフトで指名されるならやっぱり1位で」。20年は大事なラストシーズンになる。今年6月に右肘を故障し、秋は打率1割台と極度の不振だった。「右肘はもう大丈夫」と一塁から本職の三塁手に戻り、巻き返しを期す。

「まだ甲子園は浜風がきつい。まだ本塁打を打ったことがないので」。関西学生リーグは毎春、甲子園で試合を行うが、佐藤は過去7試合で24打数4安打2打点で0本塁打。来季は浜風を突き破るアーチを、プロ入りの手土産にしたい。

○…佐藤はアイドルグループももいろクローバーZのファンだ。「シーズン中には行けませんから」と12月、大阪城ホールで行われたライブへ行った。会場でソフトバンク石川を見つけてあいさつし、一緒に写真を撮ったという。気さくに応じてくれた石川のおかげで、プロ野球選手がぐっと身近なものに感じられた。「石川さんはももクロから登場曲をつくってもらっているんですよね。育成からあそこまで活躍されて」。石川だけでなく、ソフトバンク柳田もヤンキース田中も登場曲をつくってもらっている。推しは紫の高城れに(26)。モノノフ(ももクロファンのこと)のプロ野球選手たちの存在も、大きな励みとなっている。

近大・田中秀昌監督 飛距離は今まで見た中で佐藤が一番。天性に加え、本人も鍛えて努力している。巨人の長谷川スカウトからは広島経大時代の(ソフトバンク)柳田より上と言ってもらえました。もっと確実性と対応力がつけば。ハードルを高くして、ドラフト1位でプロに行けるような選手になってほしいです。

◆近大佐藤の球場別リーグ戦本塁打

南港中央6本、ほっともっと3本、皇子山1本、わかさ1本

佐藤輝明(さとう・てるあき)

◆生まれ 1999年(平11)3月13日生まれ、兵庫県出身。

◆球歴 甲東小1年時に軟式の「甲東ブルーサンダース」で野球を始め、小6でタイガースジュニアに選ばれる。甲陵中では軟式野球部。仁川学院高では2年夏の県大会4回戦が最高成績。1、3年夏は初戦敗退。

◆近大 1年春から「5番左翼」で出場。2年秋の明治神宮大会では、1回戦の筑波大戦で左翼へ本塁打。関西学生リーグで2年春から3季連続ベストナイン(2年春は外野手、他は三塁手)。2年秋にMVP。

◆サイズ 187センチ、92キロ、足のサイズは30センチ。右投げ左打ち。B型。