阪神ボーア逆風切り裂く怪力弾、監督絶賛007白旗

シート打撃で右越え本塁打を放つボーア(撮影・上山淳一)

逆風なんかに負けませ~ん!

阪神の新外国人ジャスティン・ボーア内野手(31=エンゼルス)が13日、沖縄・宜野座キャンプのシート打撃で“第2号”を放った。強烈な逆風が吹く中、秋山から右中間席に運び、初実戦となる15日の練習試合・広島戦(宜野座)に弾みをつけた。3度目の実戦形式で早くも2発目。この日合流したアンディ・シーツ駐米スカウト(48)も来日1年目からの活躍に太鼓判を押した。

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打球の角度、速度ともに文句なし。「カンッ!」という衝突音と大歓声が混ざり合う。唯一の懸念材料は強烈な逆風だった。ボーアが打ち上げた大飛球は沖縄の青空で勢いを失いながらも、右中間席を楽々と越えた。「風が強く吹いているのは分かっていたけど、感触的に行ったかなと思ったよ」。本人も納得の“第2号”だった。

シート打撃の2打席目。カウント1-2と追い込まれながら、秋山の内角138キロ直球をたたいた。「80%ぐらいの力だったんだけどね」。3度目の実戦形式で早くも2発目を決め、計5打数4安打。矢野監督からは「追い込まれて変化球もマークする中で対応ができたところに価値がある」と絶賛された。

右翼から左翼に吹く甲子園の浜風にも負けなさそうな怪力。この日宜野座に合流したシーツ駐米スカウトも「ベリーストロング!」と興奮気味だ。「本当に力がある。4、5年ぐらい向こう(米国)で見ていたけれど、彼の1番の特徴はパワーと長打。それと同時に率も結構、残せる選手かなと思ってます。本塁打、打点はかなりあげるんじゃないかな」。阪神でも主軸を張った往年の助っ人からも活躍に太鼓判を押され、期待は膨らむ。

前日12日の休日は名護まで出向き、ビーチ散策でリラックス。ファストフード店「A&W」も楽しんだという。「沖縄そばも好きだし、しょうゆラーメンもお気に入りの1つだね」。日本食にも積極的に挑戦して異国になじもうとする姿勢は、これまでの優良助っ人に共通する部分でもある。

実戦形式では初の一塁守備も無難にクリア。いよいよ15日の練習試合・広島戦で来日初実戦に臨む。1軍外国人4枠を巡るバトルはまだ始まったばかりだが、「自分は投手と競っている。外国人選手同士の競い合いはあまり考えていない」と余裕の表情。4番最有力候補には、堂々たる立ち振る舞いがよく似合う。【佐井陽介】

 

▽阪神井上打撃コーチ(ボーアについて)「逆風であそこまで飛ばすパワーはすごい。格が違うというのを見せつけたね。まだまだ課題も出てくると思う。けれど、ああいうのを見せられると順調にきているんだとこちらも安心する」

 

○…ボーアの怪力には他球団スコアラー勢もタジタジだ。ヤクルト山口スコアラーは「追い込まれてからのタイミングの取り方がいい。今のところ穴がない。左投手(相手)も見てみたい」と警戒。巨人中里スコアラーも「今のところ、このボールを投げれば大丈夫、というのが見当たらない」と苦笑いだ。中日金子スコアラーも「1発で仕留める集中力がすごい」と脱帽気味だった。